「健康な体づくりのために、1日30品目食べましょう」。ダイエットや美容のために、誰もが一度は聞いたことのある言葉だと思います。この呼びかけは、当時の厚生省が1985年5月に「健康づくりのための食生活指針」の中で呼びかけたのが始まりです。
当時は、栄養摂取源が偏ってくる傾向があったので、バランスよく摂るためには、できるだけ多種類の食品を組み合わせて食べることが必要だと提唱されました。
それを信じて、今でも一生懸命に1日30品目を目標に食べようとしている人は多いかもしれません。実際、現在もスーパーなどでは「15種類の野菜サラダ」といった商品が売られています。
ところが、実はこの政府の呼びかけは16年も前に削除されていたということを知っていましたか? その原因は、一生懸命30品目食べようとすると、オーバーカロリーに陥って太る人が増える危険性が出てきたからです。
そこで、当時の厚生省が文部省と農林水産省と連携して、2000年3月に新しい食生活指針を策定して公表しました。その食生活指針では、「主食、主菜、副菜を基本に食事のバランスを」と表記されているだけで、「1日30品目」という言葉は削除されているのです。今もそれを目標にして食べている人は、ちょっと考え直した方がいいかもしれません。
「実際に私が取材をしていると、30品目にこだわり過ぎてオーバーカロリーの食事に陥っている人がかなりいます。そういう人は、総じて“健康のために30品目を目標に食べているのに痩せないし、逆に太ってきた”と言います。問題は1日の総摂取カロリーではなく、そのエネルギーや栄養を何から摂るか、ということです。30品目にとらわれることなく、10~15品目を摂っていれば、必要なカロリーと栄養は摂取できるんです」(フィットネスライター)
また、糖質制限が流行していますが、太るからと言って“全く摂らない”というのもいけないのだとか。タンパク質と食物繊維豊富な野菜を中心にして、やはり大切なのは“バランス”のとれた食事であることが、健康な体を作るようですね。