GW最終日の5月6日夜。東京ドームに集まった4万5000人の大観衆の前で、ルイス・ネリを6回TKO勝利で初防衛したモンスターこと井上尚弥。Amazonプライムビデオの無料体験登録で視聴可能ということもあり、ふだんあまりボクシングを見ない人たちもこの試合に熱狂した。とりわけ、1Rで井上がキャリア初のノックダウンを食らった瞬間、日本中の視聴者から「心臓に悪い」「悲鳴が上がった」などの声がSNSに大量投下。さらに試合実況もヒートアップし、2Rでネリから井上がダウンを奪い返して主導権を握ると応援のボルテージも上がり、5Rでネリが再びダウンすると視聴者も井上の勝利を確信したのかお祭り騒ぎに。そして大方の予想通り、6Rでネリが立ち上がれないほどのKO劇を見せた。
そんなふうに日本中が歓喜に包まれた瞬間だけに、さぞやSNSもモンスター祭りのはず!と思いきや…。
「井上の豪快KO劇の直後からしばらくはSNSもこのネタで持ち切りではありました。ところが井上は一瞬たりともトレンド1位にはなれなかったんです。それを阻んだのがほぼ同時刻に横浜スタジアムで対ヤクルト戦を戦っていた横浜DeNAベイスターズの筒香嘉智外野手。アメリカから日本球界に復帰し、井上選手のKO勝ちとほぼ同時刻に1673日ぶりの本拠地ホームラン、しかも逆転3ランを打ったんです。ですからトレンドの1位が逆転3ラン、2位が筒香となり、井上は様々な関連ワードでトレンド入りしてましたから、それらを全部まとめれば1位だったとは思いますが、トップには1秒もなれませんでした。横浜ファン恐るべしです」(スポーツライター)
ちなみにこの日、ハマスタに集まったのは約3万3000人。観客数では東京ドームの井上に軍配が上がるが、横浜はペナントレースの1試合。世界のモンスターの渾身のパンチでも勝てない筒香の一振りのスゴさ、改めて「野球大国・ニッポン」が実感させられた一夜だった。
(飯野さつき)