放送中のドラマ「燕は戻ってこない」(NHK)で主役のリキを好演している石橋静河。桐野夏生氏による同名小説が原作のこのドラマは、北海道で介護職をしていた主人公の大石理紀(石橋)29歳が、5年前にあこがれの東京で医療事務の仕事に就いたものの、非正規雇用で手取りは14万円という現実に直面する。
電気代が払えず暗闇の中でシャワーを浴びたり、コンビニで買うカップラーメンが贅沢品だったりする生活を強いられ、「1度でいい。腹の底から金と安心が欲しい」と、木造アパートの一室で呟くことも。
同僚のテル(伊藤万理華)から医療エージェント「プランテ」に登録して卵子を提供すれば50万円の報酬がもらえると知ったリキだったが、「プランテ」からは代理出産を打診される。元バレエダンサー・草桶基(稲垣吾郎)は不倫していたイラストレーター・悠子(内田有紀)と再婚するも、悠子の不育症が発覚する。基と同じ元バレエダンサーの母・千味子(黒木瞳)の出資により、リキは1000万円で優秀なバレエダンサーの遺伝子を持つ基との子どもを代理出産することを決心する。
法律上リキは、悠子と離婚した基と再婚。5月29日放送の第5話では、草桶家に連絡も入れず北海道に帰省したリキは、代理母としての契約書にあった守秘義務をことごとく破り、地元の知人たちに有名人と結婚したと盛大に匂わせてマウントを取り、両親に至っては基の名前と素性も明かして結婚を報告する。
同時に離婚もほのめかすと、母親(あめくみちこ)から「別れるんなら、その前に、子種もらっときな」と、子どもさえいれば慰謝料や養育費をもらえるという露骨な忠告をされることに。さらには基からの行動監視や「プランテ」から身上調査をしたとの事後報告にイライラしたリキは、禁止されている飲酒、かつての不倫相手だった上司・日高(戸次重幸)との再会ワンナイト、東京に戻った後も女風セラピストのダイキ(森崎ウィン)と料金の発生しないワンナイトで気晴らしをするが、人工授精する6日後の排卵日に、日高やダイキの子どもを授かる可能性に後から気付いたリキは愕然とするのだった。
「視聴者からはネット上に『リキの行動にイライラさせられるのは石橋さんの演技がリアルだから』『私も基と同じくリキのことがまったく信用できない。このバカ女は草桶家から慰謝料請求されてほしい』と言った声から、『底辺暮らしで理性のタガがないリキの気持ちも少しわかる。自分たちの遺伝子を残したい草桶親子の気持ちもわからなくもない』としたうえで作品を絶妙な価値観で描かれていると指摘し、次回が楽しみだと評する声も。さらには、『リキの両親も強烈だった。さすが子宮レンタルで1000万円稼ごうとしてる娘の親』など、かなり真剣なドラマ評が数多くあがっています」(女性誌記者)
原作小説では、読者によっていかようにも読み取れるラストとなっていたが、ドラマはどんな終わらせ方をするのか楽しみだ。