今世紀初頭にスタートし、お笑い界に新風を巻き起こしたバラエティ番組「アメトーーク!」(テレビ朝日系)のヒットははたして誰の手柄なのか。そんなテーマが、にわかに取りざたされ、お笑いタレントの東野幸治が持論を展開して注目されたのは、さる6月1日放送のラジオ番組「東野幸治のホンモノラジオ」(ABCラジオ)でのこと。
「発端は、再三、20年以上も後輩の霜降り明星・粗品から『ユーチューバー、おもんない』『宮迫とか』『向こうは素人さん』などと挑発された元雨上がり決死隊・宮迫博之の粗品への“反撃”でした。5月29日にゲストで参加したイベントで宮迫は、『粗品に言いたいことがある』と切り出し、『テレビに出てた時のオレを超えてから言え』『お前、「アメトーーク!」みたいな番組作ったんか?』などと呼びかけたんです」(テレビ誌ライター)
周知のように、「アメトーーク!」はまだ雨上がり決死隊が中堅コンビだった2003年より放送を開始し、「メガネ芸人」や「家電芸人」など、放送回ごとにゲストの属性をまとめた「くくりトーク」が好評で、ひな壇スタイルのトーク番組を広めた。
この雨上がり決死隊の冠番組が宮迫にとって誇りに思える番組であることは間違いないが、宮迫が作ったとの事実関係について、異議を唱えたのは、ナインティナイン・岡村隆史。5月30日放送のラジオ番組から、「アメトーーク!」のヒットは宮迫だけのものではないと指摘し、エグゼクティブプロデューサーとして名を連ねるテレビ朝日・加地倫三氏の存在を挙げ、「作ったんは加地くんやったりするやんか」と語っていた。
ネットでも、宮迫の発言を“おごり”だと苦言を入れる人が増えていく中、東野は前出の番組で、さらにこう語った。
「難しいよね。“番組って誰のもん?”って言ったら」としながら、「でも、冠番組は別やもんね。『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで』(日本テレビ系)とか『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)とか。冠番組は若干、タレントの(貢献度の)割合増えません?」「『アメトーーク!』の“アメ”って雨上がりの雨やから。だから、あながち(宮迫の強気なスタンスは)間違ってないけど」
宮迫への一定の理解も示した東野は、この話題に関連して、もっとも重要な当事者の証言についても触れている。
「それは、相方・宮迫とともに番組を約20年支え続け、加地氏とは現在も仕事を続けている蛍原徹の証言。蛍原が、過去に『雨上がりは宮迫のもんや』と言及していたと紹介しています。したがって、『アメトーーク!』が雨上がり決死隊の冠番組であり、“雨上がりが宮迫のもん”だとすれば、番組における宮迫の功績の比重はかなり大きいとの論法が成り立つと分析したんです。ただ、東野はこうしたロジックで、宮迫擁護論を展開しているのが“芸能界でオレだけ”とも。その原因は宮迫の言動が傲慢に映ってしまうからだと話しています」(前出・テレビ誌ライター)
最も近くで活躍を見てきた加地氏も蛍原も、宮迫の残した功績の大きさを評価しているのは明白だが、粗品に挑発されたとはいえ、“番組を作ったのはオレ”とも聞こえかねない発言はまた痛手になってしまったかも。それでも、そんな後先考えない破天荒さこそが持ち味と割り切って、さらなる活躍を見せてくれるかどうか注目したい。
(木村慎吾)