シンガーソングライターのaikoが代表取締役を務める事務所「buddy go」に約1億円の損害を与えたとして、会社法違反(特別背任)罪に問われた同事務所の元取締役・千葉篤史被告の第2回公判が東京地裁で6月18日に開かれた。
この日、証人として出廷したaikoは「すべてにおいて洗脳されていた。逆らえば音楽制作が止まってしまう恐怖があった」などと証言。ツアーグッズの仕入れを水増し請求された結果、約1億円もの被害を被った。また、千葉被告から「事務所の経営が厳しい」と言われるようになり、総額4億6000万円を事務所に貸したといい、「ライブは毎度、満席なのに何でだろうとは思ったけど、(事務所の)収支はいっさい教えてもらえなかった」と証言した。
この事件を知って、大谷翔平選手と水原一平被告のことを連想した。aikoは千葉被告に「洗脳されていた」と言い、事務所の赤字経営に疑問を感じていたようだが、そのことを確認できなかったのは「音楽制作が止まってしまう恐怖」があったからだとも説明している。
この言葉は、自身の才能を存分に活かすことをストップさせたくない、とは言い換えられないだろうか。才能にあふれ、世間が自分自身に求めていることは何かを熟知し、それに対して懸命に努力していたら、すぐそばにいた悪いヤツにお金をかすめ取られてしまった。aikoも大谷選手も、それぞれ音楽と野球に集中してまい進していたこと、お金にあまり執着がなかったことが、大金を奪われる結果となってしまったのではないだろうか。
疑問を感じたら確認する勇気を持つことが、どんな人間関係においてももっとも大事なことのように思う。
(森山いま)