今は昔、おもしろきをんなありけり。その名は「まひろ」。と古文調で書きたくなるほど、6月22日放送の「土スタ」(NHK)に生出演した吉高由里子は「おもしろれー女」ぶりを発揮。まひろは吉高にしか演じられないことを印象づけた。
この日の放送は、同局で放送中の大河ドラマ「光る君へ」特集のため、主役のまひろこと後の紫式部を演じる吉高と、そのソウルメイトとして描かれている藤原道長を演じる柄本佑が生出演。紫式部が書いた「源氏物語」にゆかりのある、京都・宇治市文化センターで行われた公開放送には、なんと20倍の当選倍率をくぐり抜けたラッキーな観客が詰めかけた。これまでの大河ドラマにはなかった、廃邸でのラブシーンや悲田院での「お姫様だっこ」シーンなど、視聴者が「もう1度見たい」という印象的なシーンを振り返りながら、吉高をはじめとする出演者に裏話を聞きながら番組は進んだ。
吉高は「光る君へ」第1話がダイジェストで流れると「わ~、懐かし~」と声をあげ、廃邸で道長がまひろを見つけ、後ろから抱きしめるシーンが流れると「はい、バックハグ~」とチャチャを入れ、艶っぽいキスシーンでは「アッラ~、ごめんなさいね。土曜のお昼から」と、観客や視聴者にリップサービス。道長が声を荒げてまひろに怒りをぶつけるシーンが流れれば「はい、キレた~」「激おこ」などと言い、MCの1人であるコカドケンタロウから「久しぶりに(2人の逢瀬のシーンを)見てぐぅぅってなってんのに、吉高さん、家で見てるんじゃないんだから、『はい、バックハグ~』とか(やめて)」と注意されても、吉高はキャハハハハと笑い、観客もそのやり取りを見ながら大笑い。
これぞ“吉高がなせる技”であり、吉高がまひろに抜擢された最大の理由だろう。嘘のない反応と人懐っこさ。周囲を巻き込む引力の強さ。脚本家・大石静の描くまひろにそっくりだ。いや、吉高が演じるからこそ、大石はまひろというキャラクターを作ったのだろう。
左利きの吉高が劇中で見せる右手で書く美しい筆文字は、「泣きながらいつも練習してます。家で」「もう右でしか筆は持てなくなっちゃったの。たまに『イーッ!』てなって左で持ち直して書こうとすると、『えー、書けない…』とかって。筆はもう右になっちゃって」と明かすひと幕もあり、吉高が努力家でもあることも明らかになった。それでも筆文字を指導する先生を「物腰の低いドSな人です」と表現するところが、役者・吉高由里子が重宝されるゆえんなのだろう。
おもしれー女=まひろが主人公の「光る君へ」は、これからどんな展開を見せてくれるだろうか。
(森山いま)