これまで多くの日本代表選手が苦杯を喫してきたスペインリーグでの挑戦について、同国のレアル・ソシエダMF久保建英はその要因を「言語」と「個の能力」が大きいと考えているようだ。6月23日、「すぽると!」(フジテレビ系)に出演し、番組MCでお笑いコンビ・千鳥のノブとのリモート対談で持論を語っている。
久保は2011年、10歳にしてスペインのバルセロナ下部組織の入団テストに合格し、4年間同チームでプレー。その後、FC東京を経て、マジョルカ、ビジャレアル、ヘタフェなど、数々のスペインの中堅クラブで異彩を放つ活躍ぶりを見せてきた。
そんな久保に対し、ノブが「スペインで日本人プレイヤーが長くプレーするために大事なことは何ですか?」と尋ねると、久保は「日本人は足元の技術に長けている選手はたくさんいると思うんですけど、スペインリーグはそれの最高峰だと思うので、ストロングポイントが似ているぶん、ただうまいだけでは通用しづらい。それが日本人に鬼門と言われた要因の一つ」と、テクニック以外の強みが必要だと語る。
さらに「もう一つ大事なのは、言語の面」だと切り出し、具体的には「スペイン人ってあんまり英語をしゃべれる人が少ないので、英語がしゃべれるだけじゃあまりコミュニケーションが取れずに戦術の大事なこともわからずに、プレイ以外の面で損をしてしまうことがある。まずはスペイン語を早く習得することですね」と、戦術理解における言語の重要性を説明。
「あとは、うまいだけじゃない、チームを勝たせる武器を持つのが必要。戦術以外の個人で打開できる能力がスペインリーグで活躍するには必要だと感じています」と、個で“違い”を生み出す才能も挙げていた。
「これまでスペインの地では柴崎岳や大久保嘉人、中村俊輔など、J屈指の実力者が参戦したものの、いずれも“成功を収めた”とは言えません。Jリーグでは“サッカー王”のように君臨していた中村もわずか13試合ほどの出場に留まり、1年で退団。後に、フィジカル面や戦術理解度を不調の原因として挙げるとともに、数少ないスペインでの成功例として、久保と乾貴士の名前を出しています。とりわけ乾についてはトータルで5年、エイバルで不動のドリブラーとして絶対的な信頼を築いた点を評価し、『乾くんはスゴいと思う。ずっとレギュラーを獲り続けた』と語っていました。乾は日本代表でもズバ抜けたドリブル技術があり、久保の言う、『チームを勝たせる武器』や『個人の打開能力』を兼ね備えたタイプで、スペインでも十分に通用するクオリティーだったということでしょう」(スポーツライター)
“うまいのは当たり前”で、その先にどんな強みがあり、チームに勝ち点3をもたらすことができるのか。スペインで成功するにはそれらの課題を高い基準でクリアする必要があるようだ。
(木村慎吾)