誰に対して何を思うかは人それぞれだが、「はて?」と多くの人が違和感を抱く場合がたまにある。さる7月24日放送の「ぽかぽか」(フジテレビ系)に生出演した渡辺いっけいの発言には、多くの人が「はて?」と感じたようだ。
この日の放送で渡辺は、「この人天才だ、と思った俳優いるっぽい」という世間からのイメージに対し「〇」の札を挙げて話し始めた。渡辺いわく、若い役者は根拠のない自信を持っているが、明らかに自分よりすごい人を目の当たりにして、そこから修業が始まると思う、と持論を展開。そのうえで渡辺が「天才」と感じた役者は、福山雅治、古田新太、萩原健一さんだと発表。
福山は役者としていうより座長として素晴らしいと言い、2003年放送のドラマ「美女が野獣」(フジ系)で共演した時のエピソードとして、福山がインフルエンザにかかってしまい、撮影現場でマスクをして誰とも話さず隅っこにいて、自分のコンディションより現場が滞らないように徹底していたと述懐。「戦国時代なら武将になってる。セルフプロモーション能力が半端ない。気配りができる、自分に厳しい。マネできない」と絶賛した。
古田は渡辺と同じ大阪芸術大学芸術学部舞台芸術学科の後輩で、渡辺が古田を「劇団☆新感線」にスカウトしたのは有名な話だ。
古田をスカウトした理由は、当時1年生だった古田が3年生を主体とするチームに参加し、明らかに誰よりも巧いことがわかるも、出すぎないようにしていたそうだが、「能ある鷹はなんとかで。コイツが100パーだすところが見たいなと思って」と、渡辺が当時、所属していた「劇団☆新感線」の座長なら古田のチカラを引き出すことができると考え、その気がなかった古田を「劇団☆新感線に入れば女にモテる」と口説き落としたと振り返った。
19年に68歳で亡くなった萩原さんに対しては、「例えると、抜身の刀を持って『おはようございます』って現場に来るような。真剣な刀を持ってるから周りも真剣じゃないといけなくなる。そういう意味ではすごく緊張感のある現場になる」と表現。渡辺は萩原さんと単発ドラマで共演した時に、アドリブから生まれた後世に語り継がれるような名シーンを作った実感が忘れられないと明かした。
こうして3人のエピソードを並べると、「役者としてというより座長として素晴らしい」と前置きしていたものの、渡辺は福山だけ演技に対する話をまったくしなかった。「天才俳優」ではなく「天才座長」という話の内容だったから、違和感を覚えた人が多かったのかもしれない。
福山も「天才俳優」と呼ばれるより「天才座長」と呼ばれるほうが喜びそうだ。しかし、古田と萩原さんと同列に福山を並べることは、やはり何かが違うような気がしてならない。
(森山いま)