そろそろ夏が終わりに近付いてきました。みなさんはどんな思い出深い夏を過ごしましたか? 今回は話のネタになりそうな、人にとっても夏の危険防止に繋がる“魚トリビア”を紹介していきましょう。
絆創膏を手がけるニチバンは、商品に関係した応急処置の啓発活動を行うかたわら、ケガについて学ぶ親子向けイベントを新江ノ島水族館で開催しました。
このイベントによると、実は魚もケガをするのだとか。同館で“えのすいトリーター”と呼ばれる飼育スタッフの杉村さんによると、魚のケガの原因としては、魚同士のケンカ、水槽の岩や壁にぶつかる、魚の採集や移動するときに擦り傷を負う、寄生虫が感染するなどがあるのだとか。
実際、縄張り争いで尾びれが赤くただれてしまったクエ、ケンカで他の魚に背中をざっくり噛まれてしまったムツなどもいるそうです。魚がこれほどケガをしていたとは驚きますね。とはいえ、「魚もちゃんとケアすればケガはほとんど治る」とのこと。果たして、魚のケガはどうすれば治るのでしょうか?
■魚のケガの治し方とは?
同館における、ケガをした魚の治療法をチェックしてみましょう。まずは、ウツボに噛まれてしまったと思われるムツのお話です。
あるとき、背中とお腹にざっくりと傷口が残っていたムツがいました。そこで、アクリノールや合成抗菌剤という薬剤を傷口に塗った(場合によっては抗生物質を食べさせることもある)そうです。
傷口をケアした後は、体力をつけるために餌をしっかり食べさせます。なかなか食べないときは、自力で餌を食べるようになるまで、ミンチにした細かい餌を胃に直接流し込んで強制給餌をすることもあるとか。まるで人間の点滴みたいですね。1ヵ月くらいでムツの傷は小さくなり、食欲も回復したそうですよ。
魚のケガの治し方の研究は国内でも少なく、このムツの話も貴重な事例の1つのようです。
■人間も注意したいケガを防ぐための心得とは?
水族館の魚もケガをするのなら、本物の海中にだって危険がいっぱい。杉村さんによると、磯はとくに人もケガをすることがあるため、「磯遊びをするときには注意が必要」といいます。そこで、ケガを防ぐための心得を教えていただきました。
●ビーチサンダルでは行かない
磯にはフジツボや牡蠣殻が多くあり、「ビーチサンダルを履いて行くと素足なのでケガの恐れがある」のだとか。足を保護して傷付かないように作られている、マリンシューズや古い靴などを活用するとよいそうです。
●古くなった靴下を膝当てや肘当てに活用する
磯では、膝をついたり肘を岩にこすったりして擦り傷を作ってしまうことが多いですが、古い靴下などを膝や肘に当てがっておくと予防できるそうです。
人にとってもケガは怖いもの。「魚だってケガをする」と思いながら、磯遊びには十分注意したいですね。また、水族館に出かける際にはそんな視点から魚たちを観るのも楽しそうです。