橋本環奈が主演を務めるNHK朝ドラ「おむすび」が、9月30日にスタート。橋本演じるヒロイン・米田結は、平成元年生まれ、平成~令和が舞台という設定だ。のちに栄養士となる結が、食を通じて人の心と未来を結んでいく“平成青春グラフィティ”とのことで、物語は福岡、神戸、大阪と場所を変えて進んでいく。が、結が途中でギャルになったりする展開もあるなど、実在の女性裁判官をモデルとした前作「虎と翼」の骨太感とのギャップもあり、早くも批判的な声が少なくない。
「様々な要素が初めから入りすぎ、一言で説明しづらいストーリーとは言えるでしょう。今後は、平成7年の阪神・淡路大震災で被災するまでの幼少期も描かれていくとのことですが、内容がどんどん複雑になっていきそう。朝ドラは高齢者の視聴者も多く、パッとストーリーが説明できるような作品でないとヒットしない傾向にある。『おむすび』も、食が主題なのはわかりますが、1週目を見た限りでは何を描きたいのかわかりにくいですね」(スポーツ紙記者)
視聴者も同感なのか、肝心な視聴率が不安定な低空飛行となりそうな雰囲気を早くもみせはじめている。初回こそ平均世帯視聴率が16.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区・以下同)と直近6作品の初回放送を上回る数値だったものの、10月2日に放送した第3回の平均世帯視聴率は15.6%と下落。前作の「虎に翼」は、同じ第3回の平均世帯視聴率は16.5%で初回、第2回を上回ったことを考えると、この時点では、右肩下がりとなってしまっている。
「初回の視聴率がよかったのは、人気女優の橋本が主演という注目度の高さ、それに、『虎に翼』最終回の視聴率18.7%の勢いを持ち越せたのが原因では。『虎に翼』が初回~最終回までの世帯平均で16.8%だったことを考えると、すでに『おむすび』は前作を超えられないことが確定にさえ思います」(キー局編成担当者)
そこには、過度な「橋本環奈推し」にあるとの指摘もある。長く朝ドラを取材するネットニュース編集者が分析する。
「初回から、とにかく橋本を見せるだけの演出が目立ち、お腹いっぱいの視聴者も多いはず。何しろ初っ端から橋本が制服を着る場面をネットリ見せて、『かわいい橋本』を紹介する構成。朝ドラにありがちな、海に飛び込むシーンも見せましたが、SNSでは橋本の制服のブラウスが透けているかどうかの議論が盛り上がる始末です。ストーリーを評価するコメントをSNSで見かけず、大コケ感が出てきましたよ。このままだと、『舞いあがれ!』や『ちむどんどん』を下回るんじゃないかと心配になってきます。徐々に登場してくる山本舞香や小手伸也、相武紗季らの後押しに期待したいところです」
ちなみに、「おむすび」第5回は、16.2%で、結果的に、第1週の平均16.1%は、「虎に翼」の16.2%を少し下回ったところで持ちこたえた形だ。第2週目以降も予断を許さない状況だが、意欲的な設定とも言えるだけに、今後の巻き返しに期待したい。
(渡邊伸明)