前回のパリッコさんから「酒とYouTube」というテーマを受け取ったのですが、普段、私はお酒を飲みながらYouTubeを見ることがあまりありません。どちらかというと、YouTubeよりもまだテレビ派で、そのテレビももう全然面白い何かでなくていいというか、通販チャンネルとかでいいんです。とりあえず誰かの声がして何か映像が流れていればいいという感じで、むしろ気になる情報があり過ぎると、そっちに持っていかれてしまうんですよ。
あ、一度、パリッコさんもお知り合いのラッパーのメテオさんという方と大阪の書店でトークイベントをしたことがあって、その時は、スクリーンにYouTubeの動画を映しながら酒を飲んでダラダラしゃべりました。古いミュージックビデオなんかを改めて見てみると、ちょっと笑えたり、新しい発見があったりしてすごく楽しいですね。あれはお酒が進みました。〝昔好きだった曲のMV酒〟、強いていうと、これが私のお気に入りのYouTube飲みなのかもしれません。
先日、ふと、つんく♂のことが気になって、松浦亜弥とか「モーニング娘。」の往年のヒット曲のMVを缶チューハイ片手に延々と見ていたんです。つんく♂がプロデュースしたアーティストのMVって、どれも今見ると特徴的で、CGで作られた謎のサイバー空間でみんなが歌って踊っていて、かなり不思議です。あややの「LOVE涙色」という曲のMVもそんな感じなんですが、途中、彼女の部屋(を模した空間)が映るんですね。その部屋に置いてあるアップルのパソコンが、オレンジ色のスケルトンの懐かしいモデルで、それを見た時に、かなりエモい気持ちになり、泣きそうになりつつ酒が進みました。古い映像に一発でアクセスできるのはYouTubeのいいところですよね。昔のお酒のCM集とか、今見るといいんだよなー。
あと、最近、ホフディランでも活躍されている小宮山雄飛さんの「ユーヒチューブ」というYouTubeチャンネルのゲストにパリッコさんが出演されているのを、飲みながら見ました!2人がのんびりチェアリングしている回や、錦糸町のよさそうな居酒屋に入って飲んでいる回などがアップされていて、どれも絶妙な湯加減で最高でした。あんな風に、知っている人が飲んでいる姿を見ながら酒を飲むって楽しいものですね。自分もそこに混ざって、一緒に飲んでいるかのような気持ちになれる気がします。
途中、小宮山さんが唐突に私(スズキナオ)の名前を出してくださったりして、ドキッとしたりしつつも楽しい時間を過ごさせていただきました。
それでいうと、パリッコさんが昔やっていた「酩テレ」というYouTube動画のシリーズも最高でした。私も何回か出させてもらって、今も「パリッコ酩テレ」などと検索すれば閲覧可能だと思うのですが、2人でダラダラ飲んでいるだけの映像で、味わいがあります。
しかも撮影したのが10年近く前だったりすると、今、それを改めて見た時に面白さがより深まっていますよね。熟成したり発酵したりしています。単純に、10年前の街の風景というだけでちょっといいですもんね。今は存在しない店もあるだろうし、背景に映っている人もなんとなく10年前っぽいヘアスタイルや服装をしていたり。
ということはつまり、またこれから10年、20年先を見越して、今のうちにダラッとした飲み歩き動画を撮っておくべきかもしれませんね。特にヤマもオチもない動画であろうと、一定の時間が経ったらいい酒のつまみになるかもしれません。今度、そんな映像を撮ってみようと思います!
さて次回のテーマなのですが、「LOVE涙酒」でどうでしょうか! 泣けたお酒の話をぜひ!
スズキナオ:東京生まれ、大阪在住のフリーライター。著書に「深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと」「家から5分の旅館に泊まる」他。「大阪環状線 降りて歩いて飲んでみる」が発売中。