石田衣良「直木賞該当者なし」に“芥川賞とは違う”異論!「お祭りをやめるっていうのないよ…」
「ビックリしたね。しかも今回、“芥川”も“直木”も両方受賞作なしっていうさ、ひっさびさ(久々)の肩透かしで…」
連作短編小説「4TEEN」で第129回直木賞(2003年上半期)を受賞した小説家の石田衣良氏が、自身のYouTubeチャンネル「石田衣良」を更新(8月7日付)。「第173回芥川賞・直木賞」の選考会がさる7月16日に行われ、27年振りの珍事となった「該当者なし」との結果に、冒頭のように異論を唱えた。さらにこうも語った。
「芥川賞は基本的に純文学で素晴らしいもの、今まで誰も書いていないような新しさのあるものって基準があるじゃない?なので、それは新しいものがなかったからダメだっていうのはいいんだけど、直木賞はそんなの関係ないじゃん。みんなが書いてる時代小説とかさ、みんなが書いてるミステリーで獲れるんだから。候補作の中で相対評価で、イマイチだけどこの6本の中で1番上にいるからそれにあげる…っていうことをやってくれないとさ、書店がガッカリするよね」
また、「選挙と一緒だから。選挙の会場に行って、白紙を出すみたいのはもうやめてほしいんだよね…」と石田氏は、小説家らしく巧みな比喩を使って選考委員を軽妙に批判し、最後は「(受賞者なしは)ニュースになっても盛り上がらないニュースじゃん。『隅田川の花火大会が無くなりました』みたいなニュースだから。お祭りをやめるっていうのないよ。『雨も降ってないのに』って思うけどね…」とも語っていた。
昨今では「直木賞」「芥川賞」に限らず、13年公開の佐藤健、綾瀬はるかW主演映画「リアル~完全なる首長竜の日~」の原作となった乾緑郎氏のSFミステリー小説「完全なる首長竜の日」が受賞(10年)した「このミステリーがすごい!」大賞や、書店員の投票によって受賞作が決定される「本屋大賞」など、独自の選出基準で小説を評価する賞が増えている。絶対評価を守り、無理に受賞作は出さないという方針もあるのかもしれないが、確かに小説家と書店員が気の毒な気もする…。
(所ひで/YouTubeライター)
