元NHKアナ・中村克洋「人生を動かす“顔”パワー」講座/夢を叶えるための「顔のトリセツ」①夢は“イメージ”で見るべし!!
人類は言葉で進化してきました。言葉は「スーパー遺伝子」だという研究者もおり、「コミュニケーション能力」 については、非常に優れた力をもっています。
確かに言葉を使うと「伝わる」のですが、反面、情報量は極端に少ない。“伝わる言葉”というものは、たくさんの雑多な情報を含んでいたのではダメで、よけいな情報をできるだけそぎ落とし、みんなが共有できる、最小限でシンプルな情報にしなければならないのです。
たとえば、あなたがイメージした海、つまりその要素を“言葉”で表現してみてください。海水、波、船、ヨット、空、雲、島、風、松林、砂浜、釣り人、飛ぶ鳥、天候、におい、音、色、味など、「海のすべて」を言葉で表現しようとすれば、おそらく新聞の数倍のページ数があっても足りないのではないでしょうか。これは大変です。でも、あなたの“海の情報”は、実は“イメージ”の中に、すべて含まれているのです。あなたは、海をイメージするだけで、大量の海の情報がゲットできます。
それだけではありません。「記憶」もイメージの得意分野です。子供のころ、お父さんに海に連れて行ってもらった時のウキウキした気持ち、好きな人と2人で眺めた海の夕日の美しさ、大きな魚を釣った時の感激、たくさんの“海の記憶”が、海をイメージした途端にゲットできるのです。イメージを使えば、「様々な記憶や風景、感覚をすべて取り込んで“動画”にする」ことだってできます。それを自由に変化させることもできます。
さらにそれを“未来方向”に動かせば“夢”につながります。イメージの持つ巨大情報を使えば“夢につながるステップイメージ”を、ほとんど際限なく作れるのです。“言葉”では、とても太刀打ちできません。
だからイメージによるトレーニング「イメージトレーニング」が有効なのです。スポーツにおけるイメージトレーニングは、「“夢”(試合で勝利すること)実現までのステップイメージをひたすら組み立て、それを何度も何度も頭の中で繰り返して、そのイメージ(感覚)を自分に叩き込む。あとは、そのイメージをマネして練習・実践して勝利する」というトレーニングで、今ではほとんどの競技で取り入れられています。
言葉で「ラストスパート」と言ったって、何をマネすればいいのかわからない。「ラストスパート」のイメージを描いて、それを“マネッシーくん”(何でもマネする細胞、ミラーニューロン)でマネすることなら、簡単にできます。情報豊富なラストスパートのイメージを利用することによって最大限の効果を得るのです。しかも、「実際に練習しなくても、頭の中で、ステップイメージをマネするだけで、その効果は抜群」と言われています。これもイメージの「超能力」です。
結論として、夢を叶えるための「顔のトリセツ」のまず1つ目は、【夢を“イメージ”で見るべし!!】です。言葉を“晴顔”でバーチャルな“いいイメージ”にして、それを“マネッシーくん”で楽しくマネしましょう。「夢は言葉で“考える”のではなくて、イメージで“見る”べき」なのです。だから夢は“見る”と言うのです。以下は、アメリカの心理学者、ウィリアム・ジェームズ氏の言葉です。
「自分がこうしたいというイメージを頭に思い浮かべ、そのイメージをずっと抱き続けていると、じきにそれが実現する」
次回は、夢を叶えるための「顔のトリセツ」の2つ目をご紹介します。
●プロフィール
なかむら・かつひろ1951年山口県岩国市生まれ。早稲田大学卒業後にNHK入局。「サンデースポーツ」「歴史誕生」「報道」「オリンピック」等のキャスターを務め、1996年から「ワイド!スクランブル」(テレビ朝日系)ほか、テレビ東京などでワイドショーを担当。日本作家クラブ会員。著書に「生き方はスポーツマインド」(角川書店)、「山田久志 優しさの配球、強さの制球」(海拓舎)、「逆境をチャンスにする発想と技術」(プレジデント社)、「言葉力による逆発想のススメ」(大学研究双書)などがある。講演 「“顔”とアナウンサー」「アナウンサーのストップ・ウォッチ“歴史館”」「ウィンウィン“説得術”」
