長寿の国・ニッポン。長生きする人が多い一方で、歳をとっても元気に暮らすことができる「健康寿命」の促進が叫ばれている。
白澤抗加齢医学研究所の白澤卓二所長によれば、食事にちょっとしたコツを取り入れることで、若々しい歳のとり方ができるという。
「単純に歳を重ねるだけでは、素晴らしい長生きとは言えない。活発でハツラツとした長寿をまっとうするためには、ふだんの食生活における素材や調理法を改めるのが近道です。食事しだいで様々な病気のリスクを減らすこともできます」
病気を遠ざけるための食事法。例えば脳梗塞を予防するには、朝にコップ1杯の水を飲むことが重要だ。
「就寝中は血中の水分が減り、血液がドロドロになることで血栓が作られやすくなるため、朝、さらには就寝前の水分補給は非常に大切です」
1980年代以降、日本人の死因1位であるがんは、ニンニクで予防できる。
「野菜・果物が持つフィトケミカルが、がんの発症率を減らすとの研究があります。とりわけニンニクは、野菜の中でも特に強い抗酸化作用を持っているため有効です」
即座に命をおとしめる病気だけでなく、徐々に我々の体をむしばんでいく生活習慣病も食事で予防できるという。
「主食のお米を玄米にするだけで、糖尿病の予防になります。一度に食べる分量もお椀一杯ではなく、6割ほどに減らし、そしゃくの回数を増やせば満足感を得られます」
オススメは一汁三菜。玄米と味噌汁、漬け物と魚などのオカズを揃えた、いわゆる昔ながらの日本の食卓だ。
「また、高血圧を予防するには青魚の油やエゴマ油などの『オメガ3脂肪酸』を含む油を摂るべき。お塩は精製塩に比べて、血圧を上昇させる作用が緩やかな天然塩がオススメです」
油や塩など、食材だけでなく調味料の類を意識して変えることも健康的な長寿の手立てとなるようだ。
他にも唐辛子やしょうがには血糖値の上昇を抑える効果があり、きなこやゴマにはそれぞれ肝臓・腎臓の機能を回復する作用がある。すべてを一気に改めようと思ったら少し気後れしてしまうが‥‥。
「カラダに良いものを全部摂り入れようとするのではなく、例えばお酒を飲みすぎているときはきなこを摂ってみようとか、健康診断で血糖値が高かったらスパイスを変えてみようなど、出来るところから改善していけばいいのです」
自身の症状に合わせて食生活を見直していきたい。