「ウィンブルドン選手権」の男子シングルス4回戦で、世界ランキング2位のラファエル・ナダル(スペイン)が、試合後にとった行動がテニスファンを熱くさせている。
ナダルはこの試合で格下の世界ランキング26位のジレ・ミュラー(ルクセンブルク)にフルセット4時間48分の死闘の末、惜敗。試合後はミュラーよりもベンチでの身支度を早く終えたナダルだったが、ミュラーが荷物整理を終えるまで約20秒間待ち続け、一緒にコートを去ったことが絶賛されたのだ。
「ウィンブルドンでは対戦相手に敬意を表し、選手は一緒にコートから去るという慣例があるため、それに倣った形です。ですが、優勝候補でありながらベスト8入りを逃したうえに、長時間の試合ということもあって、さっさと準備を終えてコートを後にしてもおかしくない場面。それでもナダルは悲しい表情を見せながら、じっと待っていた。このスポーツマンの鑑とも言える行動を見て、観客はナダルの退場をスタンディングオベーションで見送っています」(スポーツ誌ライター)
さらに、コートを去る際にスタンドの子供たちに自ら駆け寄り、サインの求めに応じるなどファンサービスも忘れない。「さすがテニス界イチの紳士」と人気はさらに急上昇だ。
その一方で、ナダルのジェントルな態度と比較されてしまったのが、我ら日本が誇るトッププレーヤーの錦織圭だ。
「錦織は先月行われた全仏オープンでイライラから試合中にラケットをコートにたたきつけて破壊。その行為に対して主審からコード・バイオレーション(選手がしてはいけない違反行為)の警告を受けています。また、今年2月のリオ・オープンでも錦織はラケットを折っており、観衆からブーイングを食らってしまった。普段は温厚な錦織ですが、コート上の感情表現の激しさもあり、テニスファンから『ナダルのマナーを見習うべき』といった声も上がっているんです」(前出・スポーツ誌ライター)
とはいえ、ラケットを叩きつける行為はジョコビッチやマレー、ワウリンカらに比べて錦織は圧倒的に少ない。直近の試合で目立ったため、変な形で引き合いに出されてしまったようだ。錦織にはこうした批判に負けず、引き続き熱い闘争心を見せてほしい。
(本多ヒロシ)