先日、地上波初登場として放送された小栗旬主演映画「信長協奏曲」。2014年にフジテレビ「月9」で放送されたストーリーの結末を描いています。
それはさておき、このドラマで「協奏曲」を「コンツェルト」と読むことを知った人も多いのではないでしょうか。こうした和名のついた楽曲の名称は、日本語表記にしても、本来の外国語読みにしても「カッコイイ」ので、作品名に使われがち。インストゥルメンタル(器楽曲/声楽のない楽器のみの曲)や、イントロダクション(序奏/曲の冒頭部分)などは馴染み深いですが、大抵のものは意味もわからずに「雰囲気で理解」しちゃっている人も多そうです。ここで一度、意味を押さえておきましょう。
■コンツェルト=協奏曲「独奏楽器と管弦楽の合奏」
■アンサンブル=合奏、重奏「1人1人が別のパートを担当すること」
■エチュード=練習曲「技術を練習するための曲」
■エレジー=哀歌、挽歌「人の死の悲しみを歌った曲」
■カノン=追復曲、追走曲「同じ旋律が数拍遅れで順次演奏される曲」
■カプリッチオ=奇想曲、狂想曲「形式に縛られない気まぐれな曲」
■セレナーデ=小夜曲「夕べに女性のために歌われる恋の歌」
■ソナタ=奏鳴曲「3~4楽章からなる器楽独奏曲」
■ソナチネ=小奏鳴曲「規模の小さなソナタ」
■ラプソディ=狂詩曲「自由な形式で民族的、叙事的、英雄的な表現を持つ楽曲」
■ロンド=輪舞曲「主旋律に別の旋律を挟みながら繰り返される楽曲」
こうしてみると、「信長協奏曲」は、織田信長の人生に現代のサブローが関わってゆく意味合いだということがわかります。また、平井堅の「哀歌(エレジー)」も、意味が一段と深いものとして解釈できます。映画やCMなどで今でもよく使われるジャズの名曲「ムーンライト・セレナーデ」も選曲の意味合いが読み解けるというものです。
また、クイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」を始め、タイトルの引用率では圧倒的な狂詩曲=ラプソディ。チャゲアスの「ラプソディ」、堂島孝平の「葛飾ラプソディ」(こち亀主題歌)、井上陽水の「新しいラプソディ」、ゆずの「人間狂詩曲」、山下達郎の「新・東京ラプソディ」、竹内まりやの「純愛ラプソディ」、SEKAI NO OWARI「マーメイドラプソディー」などなど多岐にわたるのも、「自由な形式」という部分で整合性があり、あながち「それっぽく命名した」というわけではなかったんだな、と理解を改めた次第です。
(摘木みなみ)