子どもは3歳にもなると行動の好みがはっきりしてきて、「わたしはこれがいい!」「ぼくがやる!いちばんがいい!」と、自分の意思を伝えて、行動に移すことができるようになります。
一方で、園での行動や友だちとの遊びのなかでは、待ったり譲ったりしなければならない場面も。そんなときに、我慢できずトラブルを起こすばかりでは心配ですよね。そこで、塾講師として園児とかかわってきた筆者の経験を踏まえ、子どもが「順番を待てる」ようになるためのアプローチ法をご紹介します。
■「待つ」という意味がわかっていないケースが多い
この時期の子どもたちは、興味を持ったものには積極的に働きかけ、見て、聞いて、触って、感じて、確かめることで、世界を知っていきます。まだ、先を見通したり、全体を捉えて自分の行動を調節したりする意識は芽生えていないため、「やりたい!」と思ったら、そのものに突進する傾向があります。
そのため、例えば面白い形の石を見つけて触ろうと近づき、到着すると他の子が触ろうとしていた、というケースに遭遇すると、「どいて!」「ぼくがやるの!」とお友だちをどかそうとしたり、「順番だからダメよ」という大人の声かけに「いや!わたしがやりたいんだもん!」と大泣きしたりします。
「順番です」「待ちなさい」などと言われても、あまり理解できない時期ですから、こちらの声かけを工夫しましょう。
■まずは「やりたい」気持ちを受け止める
頭ごなしに「順番だからダメでしょう」と言われても、「どうして? ぼくは、やりたいんだ!」という気持ちを抑えきれません。まずは、「○○くんは、これをやりたいな、と思って来たんだね」と、やりたい気持ちは理解しているということを子どもに伝えましょう。ここが大人に伝わっていないと感じると、子どもは「ちがうの! ぼく、これをやりたいの!!!」と平行線の言い合いになってしまいます。
それだけ本気であること、どうしてもやりたいんだということがわかってもらえると、子どもは安心して大人の話に耳を傾けられるようになりますよ。
■「どうして待つのか」「いつできるのか」を具体的に伝えて
その子の気持ちを受け止めたら、「なぜ今はできないのか」「いつできるのか」を具体的に伝えます。「これは二人一緒にできないね。今はKちゃんがやっているよ。だから○○くんはその次にしようね」というように伝えると、分かりやすいですよ。
■「順番を待つ」ことは思いやりの種になる
みんなが楽しくできるようにするために、自分が思いっきり楽しめるようにするには、順番に一人ずつ楽しむことがいい、と実感できると、子どもの行動は変わります。周りの状況や相手の気持ちを考えるきっかけでもあり、思いやりの心を育む点でも重要な経験です。
「ダメって言っているでしょう!」と叱るのではなく、どうしたら楽しめるようになるかを伝えることで、ぜひ「待つ」経験をさせてあげてください。
(Nao Kiyota)