6月24日に福岡で発生したブロガー刺殺事件が、ネット業界に大きな波紋を広げている。同事件は、匿名投稿サイトの「はてな匿名ダイアリー」にて誹謗中傷を繰り返していたユーザーが、同サイトでターゲットとしていた著名ブロガーを刺したもの。ネット上でのいざこざがリアルな殺傷事件に発展した形だが、そんなネット上でのやり取りについて、IT系のライターが指摘する。
「はてなに限らず匿名で投稿できる各種の掲示板サイトには『荒らし』と呼ばれる、誹謗中傷そのものを目的とする愉快犯的なユーザーは珍しくありません。しかし爆破予告など直接的に犯罪を示唆する内容でもない限り、書き込みの内容だけで当局が動くことは少ないのが実情。サイト運営者側でも投稿内容を利用規約でガチガチに縛ってしまうと利用者が減ってしまうため、サイト内の自浄作用に任せている部分は少なくないですね」
今回の事件は掲示板ユーザー同士の事件に発展した形だが、ネット上での誹謗中傷を巡っては、芸能人もターゲットになりがちだ。“アンチ”からいわれのない暴言を浴びせられる芸能人も少なくない。最近では辻希美と杉浦太陽の夫婦を巡って「何をやっても批判される」と話題になっており、辻アンチが杉浦への攻撃を強めているとの見方もある。そんな芸能人たちが今回の事件を受けて、恩恵を受ける可能性があるというのだ。
「業界大手のヤフーでは6月18日、質問サイトの『Yahoo!知恵袋』において、不快投稿への対応強化策を打ち出しました。同サイトではもともと誹謗中傷にあたる投稿や、プライバシーを侵害する投稿を禁止していましたが、今回改めて、これらの投稿に対する対策を強化すると表明したのです。この対策強化は福岡での事件よりも前に発表されており、同事件と直接の関係はありません。しかしユーザーの間では、悪質な荒らし投稿が以前よりも増えているという実感が広まっており、今回の事件に関しても『起こるべくして起きた』との見方もある。それゆえこの時期にヤフーが対策強化を表明したことには称賛の声が集まっています」(前出・IT系ライター)
サイト運営者側での対策が強化されれば、芸能人をターゲットにした悪質な投稿も減るはず。これで辻・杉浦夫婦も安心して出産・育児に集中できるかもしれない。
(白根麻子)