5月第2日曜日は母の日、6月の第3日曜日は父の日、では7月の第4日曜日は? これに「親子の日!」と即座に答えられるのはかなり情報感度の高い人だろう。
米国人写真家のブルース・オズボーン氏が提唱したこの“親子の日”は、「年に1度、親と子が向かい合ったっていい」「その日を通じて、すべての親の絆が強められたらすばらしい」という趣旨で2003年から普及活動が始まった。以来、各地で親子のイベントが開催されるなどしているが、今年は「本でつながる『親子の日』書店プロジェクト」という企画が立ち上がっている。
その内容は、“親から子へ伝えたい想いを「本」に託して贈ろう”という構想で、蔦屋書店、旭屋書店、リブロ、パルコブックセンター、よむよむ、多田屋、オリオン書房、BOOKえみたすなど、全国900店舗の書店で「『親子の日』に“本を贈ろう”フェア」が7月22日まで実施中。店頭で、書店が選ぶ“親から子へ贈りたい本”のコーナーが展開されるほか、記念のブックカバーや、伝えたい言葉を書き込める“メッセージしおり”を本の購入者にプレゼントする企画もある(なくなり次第終了)。
それに先駆け7月13日には、同プロジェクトの記者発表イベントを催行、作家の阿刀田高氏、新潮社出版部部長の中瀬ゆかり氏らによるトークセッションが行われた。阿刀田氏は「本には存在感があります。本を贈るということは、単純にモノを頂いた以外の喜びもあって、仮に贈られた子どもがそのときは興味を示さなくても、その後の人生に全く影響がないとは思いません。親が自分にその本を託したことは覚えている。それは本がもつ凄い価値だと思います」とフェアの精神を訴え、中瀬氏も「本を贈られてそれを感じるのは子どもの側なので、本を贈るのに正解はないと思います。映画『プリティ・ウーマン』でもオペラに行くデートのシーンで“最初に出会う作品の大切さ”(最初に観たオペラがつまらなければオペラ自体を嫌いになってしまう可能性がある)についてのセリフがありますが、本も同じで、大人もカッコつけすぎて渡すのではなく、本当に面白いと思うのを渡せばいいと思います」と、子どものための本選びの極意を語った。
子どもに直接話しにくい想いも、本を触媒にすれば、より深い意味を持って伝えられる。この新しい習慣が日本に定着する意義は大きい。