インドネシア・ジャカルタで開催された「第18回アジア競技大会」の女子競泳は“スーパー女子高生”こと池江璃花子の独り舞台と言っていいだろう。大会新記録で金メダルを連発し、出場8種目すべてで結果を出した。しかし、舞台裏は違ったようだ。周りに人を集めていたのは、大橋悠依のほうだった。
大橋は400m個人メドレーで金メダルを獲得するなど活躍していたが、関係者からは「大丈夫か?」と心配されていたようだ。
「大橋はナーバスなところがあるんです。素質もあり努力家なんですが、少々マイナス思考なところがあって…。恩師である平井伯昌代表ヘッドコーチが急病で今大会は帯同できないとなり、大橋のマイナス思考がぶり返さないか、と」(体協詰め記者)
他の日本選手も大橋の性格を知っていて、直前まで励ますなどしていたという。その甲斐もあってか、大橋が400m個人メドレーでゴールインしたときは、日本選手団は自分のことのように喜んでいたそうだ。
「池江は勝って当然の立場でした。自分との戦いでした。先のパンパシフィック水泳選手権からアジア大会まで間隔が短かったので体力面での心配はありましたが、疲れなど微塵も感じさせなかった。大会3日目なんか、50mバタフライの表彰式から100mバタフライの集合場所に直行するなど多忙な一日になったのに」(前出・記者)
心身ともに強靭な池江は放っておいても勝つというわけか。その一方で、大橋を気遣い男子選手も集まっていたそうだ。それを池江が嫉妬していたなんて話は聞こえてこないが、弱点があったほうが周囲にも気に掛けてもらえるということだろう。
(スポーツライター・飯山満)