宮川紗江選手へのパワハラ問題で揺れる体操界。この件に関しては当事者のみならず、元選手たちも積極的にコメントしているところが印象的だ。そのなかの1人、ロス五輪金メダリストの森末慎二氏が自身の講演の中で、体操協会の具志堅幸司副会長のことを「ぶっちゃけ、嫌いだった」と発言し、話題になっている。
「今回の対応について、すぐに全否定に走った塚原夫妻に対し、具志堅副会長の対応が賞賛されていますが、森末氏は同じ日体大の先輩で真面目な具志堅氏とはタイプが違い、水と油の関係だったそうです」(スポーツ紙記者)
確かに森末氏はテレビのバラエティも器用に明るくこなし、厳格そうな具志堅氏とはそのキャラクターが真逆と言えそうだ。しかし、敵対していたわけではない。
「森末氏のトークには続きがあり、学生時代、具志堅氏と同じ時期にアキレス腱を切ってしまって入院することになったんです。しかも病院側の配慮で、同じ病室の隣のベッド。具志堅氏は動かせる上半身を鍛えるべく、ベッドの上で鉄アレイやチューブでトレーニングをし、森末氏にも勧めてきたため、森末氏も仕方なくトレーニングせざるを得なかったのだとか。そのおかげで退院時には上半身だけで8キロも筋肉が増えてその後の体操にすごく役立って、感謝しているというオチなんです」(スポーツライター)
具志堅氏は大学3年生の時に、つり輪の練習中に着地に失敗して腓骨と左足じん帯を損傷。もう体操は続けられないと医者から言われながらも、手術して3カ月間入院していた間にトレーニングを積んで上半身の筋肉の強化に成功。復帰することができた。しかし、4年生の時に今度はアキレス腱断裂で3カ月入院をすることになり、今度こそ体操はあきらめなければならないほどの窮地に立たされていたのだという。
「そんな時に森末氏と同じ病室になり、再度トレーニングをして復帰を果たしたんです。現役の体操選手にとってケガによる離脱は肉体的にも精神的にも大きなダメージ。具志堅氏も同室の森末氏に、精神的に救われた部分があったのかもしれませんね」(前出・スポーツライター)
そんな思い出と感謝を「嫌い」という言葉から語ってゆく森末氏は、確かに真面目な印象の具志堅氏とはタイプが真逆といえそうだ。
(伊藤その子)