ドラマ「健康で文化的な最低限度の生活」(フジテレビ系)にて堅物のケースワーカーを演じる川栄李奈が、法律を無視した行動を露呈していたという。
8月28日の第7話には、ほとんど読み書きのできない「識字障害」を抱え、求職活動もままならない男性が登場。しかしケースワーカーの川栄はその識字障害に気づかず、生活保護の取消手続きを進めるというミスを犯してしまう。だが男性の状況を知ってからは病院で診察を受けさせ、障害者手帳を申請させたうえでハローワークで仕事を探すために悪戦苦闘する姿が描かれた。そこで映し出された問題のシーンについて医療系のライターが指摘する。
「医師の診断を受けたうえで障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)を申請する際には、初診日から6カ月以上という条件があります。ところが川栄は『手帳は1カ月ほどで発行されます』と誤った情報を伝えた。またハローワークのシーンでは『一般企業は全社員のうち2.2%の障害者を雇用しなければならない義務があるはずです』と職員に詰め寄っていました。しかし肝心の障害者雇用促進法では障害者手帳を持たない人は雇用率制度の対象外であり、まだ手帳を取得していない男性の雇用を促す際に2.2%の義務を持ち出しても意味がないのです。ケースワーカーが主役のドラマにも関わらず、関連法規や規則を無視したストーリーには問題がありますね」
もちろん川栄は台本通りのセリフを口にしているだけであり、彼女には何の責任もない。むしろ責められるべきは実情に即していない脚本を用意した制作側にあるのは明らかだ。その上で、前出の医療系ライターはこう語る。
「細かい点では問題があるものの、今回の話は世間での認知度が低い識字障害(ディスレクシア)を取り上げた点で意義があります。放送後には視聴者から『初めて知った』『もっと認知が広まってほしい』といった感想が続出していたほど。ちなみに作中では吉岡里帆が『トム・クルーズだってスピルバーグだって、識字障害をカミングアウトしてるからね』と語っていましたが、そのトム・クルーズが自ら公表したことで、アメリカでは認知度が高まったと言われています。それゆえ今回のドラマにも啓蒙効果があったのではないでしょうか」
視聴率は5.3%と冴えなかったが、実際に視聴した人たちからの評価は高かったようだ。
(白根麻子)