“普通すぎるジャニーズ”。それが一般的なKAT-TUN・中丸雄一のイメージだ。デビュー時は赤西仁と田中聖、田口淳之介が在籍していたため、今と比べものにならないほどギラギラ感があったKAT-TUN。そんなワイルド集団の中にいても、中丸だけはマジメで普通でイイ人だった。そして、メンバーの亀梨和也のことが大好きだったようだ。こんなエピソードがある。
「24歳のとき、中丸は初めてワンマン舞台『中丸君の楽しい時間』に出演しました。東京と大阪で開催したのですが、このとき、楽屋ののれんを亀梨におねだりしています」(エンタメ誌ライター)
舞台の世界には、楽屋の入口にのれんをかける習慣がある。ファンや舞台経験が豊富な先輩からもらったのれんであれば、縁起がいいといわれている。のれんを掲げることは、役者のステイタスを意味するようだ。亀梨はかつて、役者としての大先輩である佐藤浩市にお願いしている。ところが中丸の場合は、亀梨にリクエストした。
「10年前のKAT-TUNといえば、近寄りがたい雰囲気を醸し出していたため、先輩・後輩の交流がほぼありませんでした。そのため、おねだりできる先輩がいなかったというのも大きいですが、それにしても年下のメンバーに頼むあたりが、中丸くんらしい」(前出・エンタメ誌ライター)
このころ亀梨はすでに、ジャニーズの伝統ミュージカル『DREAM BOY』で堂々主役を張っていた。リスペクトの念を込めて、中丸は頼んだのかもしれない。
のれんの模様は、白地に楽譜が曲線状で重なり合ったもので、金の刺しゅうで「yucci」と入っている。亀梨が佐藤からもらったものは、その反転。黒地に白抜きの楽譜で「KZu」と刺繍されたものだ。あえて色違いにした亀梨。
粋なはからいに中丸雄一もさぞ喜んだことだろう。
(北村ともこ)