人気アニメの「サザエさん」(フジテレビ系)は、舞台設定に昭和の雰囲気があふれていることでも知られている。だが今回の人物描写はさすがに時代錯誤すぎるのではと、視聴者も首をかしげているようだ。
10月7日の〈数の論理〉という回では、会社帰りのマスオがデパートにネクタイを買いに行くシーンを放送。そこでマスオは大勢の女学生バイトに驚くも、自分に似合うネクタイを見たててもらい、購入したのだった。そのシーンについてアラフィフのライターが指摘する。
「ここに描かれた女学生バイトの全員がセーラー服姿だったのです。かつては学生バイトだと一目で分かるように企業側でもあえて学校制服を着せていたものですが、それが一般的だったのはせいぜい昭和50年代まで。私が学生の頃にはすでに、バイト時には学校制服から着替えるように指導されていました。現在では学校側がバイト時の制服着用に難色を示すでしょうし、女学生だと制服から学校がバレてしまう恐れもあります。そのため現在ではセーラー服のままで働いている学生を見る機会は皆無でしょうね」
とはいえサザエさんでは未だに黒電話を自宅で使っているなど、昭和的な描写にこだわっているのは視聴者も納得済み。それなら昭和50年代以前のアルバイト学生が描かれていてもおかしくはなさそうだが…。
「親子で観ることの多い『サザエさん』ですが、親のほうも40代以下という家が多いため、家族全員が『なぜアルバイトなのにセーラー服なの!?』と不思議がっていたのが現実。視聴者にとって意味不明なシーンでは、いくら昭和懐古な作風でも無理があります。しかも今回の描写については昭和の雰囲気というよりも、その女性店員たちがアルバイト学生であることを示すための記号としてセーラー服を描いた可能性のほうが大きいですね。しかしそれは『女学生=セーラー服』というイメージの固定化であり、下手をすれば女性差別と捉えられかねません。制作陣のなかにこの描写に異を唱える若い人がいなかったのかと、疑問に感じます」(前出・ライター)
そもそもデパートが高校生を販売員としてアルバイト採用するのも、平成の現在では聞かない話。来年には平成が終わろうというのに、「サザエさん」の昭和懐古ぶりはやむところがなさそうだ。
(白根麻子)