3月28日に放送されたフジテレビ開局60周年記念特別企画「砂の器」が放送中から大ブーイングだったようだ。
言わずと知れた松本清張氏による昭和の同名小説が原作なのだが、このドラマでは時代が現代に置き換えられたことにより、原作の主軸であった「言われなき差別」が消失。「父も兄も弟も殺人を犯した家族の物語」になっていたのだ。さらに有名作曲家でありピアニストでもある主人公の和賀英良を演じた中島健人と、和賀の秘密の恋人である成瀬梨絵子を演じた土屋太鳳が「ぐるぐるナインティナイン」(日本テレビ系)の人気コーナー「グルメチキンレース・ゴチになります!」で共演中の“ゴチメンバー”であるためか、人目を避けて愛をはぐくむ関係にはどうしても見えず、しっとりしたラブシーンがコントのように見えてしまうという最悪の結果に。また、ストーリーテラーの役割を果たした東山紀之演じるベテラン刑事の今西栄太郎が、ドラマのキャッチコピーにもなっていた「感動のラスト31分46秒」で、和賀が引き起こした殺人の動機と切なく悲しいはずの半生を語ったのだが、ここでも視聴者から“涙の大反響”が起きるには至らなかったようだ。
「今西刑事がまるで情緒不安定な人のように泣き崩れたり泣き止んだりしたため、泣くどころかキョトンとしてしまった視聴者が多かったようです。ただし、和賀の父親を演じて短い時間だけ出演した柄本明だけは、我が子を愛するあまり和賀と他人のふりをするシーンで視聴者の胸を打ったようで、ネット上では『柄本明だけが救い』『柄本さんの演技にだけは引き込まれる』『柄本さん以外の出演者は何をしてるの?』『柄本明以外は幼稚園のお遊戯会レベル以下』といった声が続出しました」(テレビ誌ライター)
不朽の名作と呼ばれる「砂の器」だが、これから映像化する場合はもっと松本清張氏に敬意を払うべきではないだろうか。