錚々たる面々が名をつられる「朝ドラヒロイン」。平成30年間を振り返っても、松嶋菜々子(1996年「ひまわり」)、竹内結子(1999年「あすか」)、国仲涼子(2001年「ちゅらさん」)、石原さとみ(2003年「てるてる家族」)、榮倉奈々(2008年「瞳」)、多部未華子(2009年「つばさ」)……。2006年「純情きらり」の宮崎あおい以降、オーディションを行わずに最初からトップ女優を起用するケースも増えているが、それでも朝ドラが“登竜門”であることは変わらない。最近はヒロインだけでなくその友人などを演じた脇役の若手女優が注目を集めるケースも多いくらいだが、とりわけ、ヒロインの母親の若かりし頃を演じた有村架純が、いまとなってはスター女優となってしまった例が、今回取り上げる女優だ。
・2013年「あまちゃん」(能年玲奈)
「あまちゃん」そのものはまさしく大ヒット、社会現象まで巻き起こして今に続く朝ドラブームの礎を築いた“中興の祖”ともいうべき作品になった。舞台になった岩手県久慈市には今も多くの観光客がおとずれるというから、朝ドラの威力はさすがである。
ところが、肝心の能年玲奈が大問題。出演作を選びすぎたおかげで朝ドラ出演後の作品に恵まれず、所属事務所ともトラブルを起こして本名である「能年玲奈」は使えずに今では「のん」として芸能活動を続けている。CMなどには出演していても、地上波のドラマなどへの出演は未だに果たせていない。
それでもNHKはしばしば「あまちゃん」を黒歴史化することはなく、有料のオンデマンドサービスでも「あまちゃん」は人気コンテンツのひとつだった。
さらに今年の3月には作中に登場した北リアス線のモデルとなった三陸鉄道のリアス線開業にあわせて一挙再放送という厚遇ぶりをみせていたくらいだ。
ところがここにも厄災が襲う。出演者のひとり、ピエール瀧の逮捕である。さすがにここまで“ケチ”がつけばNHKも手を引かざるを得ず、「あまちゃん」再放送はお蔵入りとなってNHKオンデマンドでの配信も中止されてしまった。
(山三大志)