リタイア後、ゆとりある生活を送るためには2,000万円の資金が必要と話題になりましたが、老後の生活に不安を抱いている方も多いのではないでしょうか。
日本ワークス社が全国60代の男女1,110名を対象に行ったインターネット調査「月の損益に関する調査」によると、「現在の貯蓄額について教えてください」という質問で一番多かった回答は「100万円未満(27.4%)」、これに「100万円~500万円未満(21.3%)」、「3,000万円以上(10.2%)」が続いたそうです。2,000万円を下回る人は8割近くにのぼり、収入の実態と子育てなどの出費は減らすことが難しいことを考慮すると、老後のための資金繰りに焦ってしまいますね。
■老後に2,000万円の貯蓄は必要か
老後の収入源はほとんどの人が「年金のみ」ですが、上手に生活費をやりくりすれば、そこまで貯金がなくても生活できなくなることは考えにくいもの。むしろ、「教養娯楽費」や「交際費」、つまりこれまで働いていた時間帯に行う趣味やレジャーにお金をかけることを考え、余裕を持った生活を送るために必要なお金として提示されているのが「2,000万円」なのです。
「2,000万円の貯蓄がないと生きていけないのでは…」と思うと焦ってしまいますが、より豊かな老後を過ごすため、また万が一のときに困らないようにと考えると、子育てに必要な資金と一緒に少しずつ貯めていきたいもの。2,000万円にこだわらずとも、例えば少し家計を切り詰めて教育費を多めに貯蓄し、余った分を老後資金へと移行することでも余裕は生まれますよ。
■老後の資金調達方法は…
最近は個人型確定拠出年金など、税制優遇がある制度が豊富です。とはいえ、預貯金と異なり、受け取り時期が限られたりリスクが伴ったりするものもありますので、よく考えて運用する必要があります。また、退職した後も、収入を得続ける仕組みを作っておくのも一つの方法です。個人で業務委託を受け続けられるようなスキルを身につけたり、リタイア後も活躍できる企業に転職したりと、能力や働き方によってさまざまな方法を考えておくとよいでしょう。
人生100年時代。最後まで楽しみ抜くためには、それなりの準備も必要です。今だからこそかかるお金もある中で、老後のことまで手を回すのは楽ではありませんが、準備をしておくことで心と資金の余裕が生まれます。今すぐ動けない場合でも、いつ頃からどのように準備を始めるか、家族会議を開いてはいかがでしょうか。
(Nao Kiyota)