「子どもたちが自分のおもちゃを相手にあげ、代わりに別のおもちゃをもらって帰ってきましたが、我が子のおもちゃよりもはるかに高価なものでした。このまま交換したままでいいのでしょうか……」
こういったことが発端のトラブルについて、ご相談をいただくことがあります。子どもがお母さんの許可を得ずに自分のものをあげたり、また友だちのものをもらったりしてきたら、あなたはどうしますか? 子どもはそのときの気分で自分のものより相手のものの方がうらやましくみえ、気軽に交換してしまいます。その後どうするかはしっかり話し合いたいところです。
例えば、我が子が捕まえた昆虫をみんなで観察していたときに、その虫を見た子が「ぼくも欲しい! これと交換しない?」とゲームを差し出してきたとします。我が子が「欲しいゲームだったの!」と目を輝かせて交換し、家に持って帰ってきたら……どんなふうに声をかけるのがよいのでしょう?
子どもたちは“今、このとき”を生きていますから、交換したときの気持ちは本物です。しかし、ゲームを差し出した子がもらった昆虫を育て、それが死んでしまったら……ゲームはやっぱり返して欲しいと思うかもしれません。また、ゲームは親御さんがお金を出して買ったもの。子どもが決めたこととはいえ、高価なものであれば家に帰ってから「返して来なさい」と言われ、昆虫を持ってやってくるかもしれませんね。どちらにせよ、もらったゲームを自分のものにするかどうか、決着をつけなければなりません。
お菓子の交換ではなく、“モノ”になると、一度渡してしまったら戻ってこないこと、相手にとってとても大切なものの場合むやみに交換してはいけないことを教える必要があります。生き物はとくにデリケートで、あげた後にすぐに死んでしまったとしたら「ちゃんと育てなかったからだ!」と、新たなトラブルが発生する可能性もあります。
ですから、まずは自分のものと相手のものの区別をはっきりとつけられるよう、家庭で指導する必要があります。そのうえで、あげるのではなく1日だけ交換し、きちんと返すなどのルールを設け、相手のものをむやみにもらおうとしないようにさせることも必要です。何より、相手のものを大切にできる気持ちを育んであげたいですね。
事前にルールを設けていても、「どうしても欲しい!」の衝動でもらってきてしまうことがあるかもしれません。その際はしっかり話し合い、可能であれば相手の親御さんとも話し合ってお互いに返すようにするなど、学ぶ機会を子どもに渡してあげましょう。
(Nao Kiyota)