「将棋日本シリーズ」をご存知だろうか。全国11都市で行われ、毎年、多くの参加者とギャラリーで大賑わいとなるこの大会は「JTプロ公式戦」と「テーブルマークこども大会」が1日で行われる日本最大規模の将棋イベント。幼少期の藤井聡太七段が憧れ、かつてこども大会(2011年度東海大会)に参加して優勝したことでも知られている。
2019年の「将棋日本シリーズ JTプロ公式戦/テーブルマークこども大会」東京大会は、11月17日(日)幕張メッセにて開催された。「テーブルマークこども大会」東京大会の子ども参加者数は2,494人。第40回の節目を迎える「JTプロ公式戦」の決勝が同日開催とあって大勢の家族連れが詰めかけ、総来場者数6,904人の大盛況となった。
「テーブルマークこども大会」の特徴は、将棋のルールを知っている小学生以下なら誰もが参加できること。小学3年生以下の低学年部門と小学4~6年生の高学年部門に分かれ、まずは一対局20分制の「ブロック対局」を3局対戦。3勝できた参加者がトーナメント戦へ進出できる仕組みだが、勝ち上がれなかった子どもたちも「自由対局」に参加できる。実績のない子どもたちでも参加でき、これだけ経験を積める大会はほかにないだろう。良きライバルや将棋好きの新しい友達と出会えるのも大きな魅力だ。
決勝ステージへ勝ち上がった2人は、羽織袴姿に着替え、プロ同様の盤と駒を使って対局。大盤解説や読み上げ、記録もつく本格的な環境だ。低学年の決勝は攻守の入れ替わる長い戦いとなり、これまでの大会の中でも屈指の大熱戦に。高学年の決勝は大人顔負けのハイレベルな対局が繰り広げられ、2年前の低学年の部でも優勝経験のある北原優さんが頂点に立った。
「近年の小学生のレベルはどんどん上がっていて、とくに高学年は奨励会やプロに準ずるような将棋を指します」と語るのは解説の中村太地七段。
ちなみに「JTプロ公式戦」に出場した12人のプロ棋士のうち、藤井聡太七段のほか、斎藤慎太郎七段、菅井竜也七段、高見泰地七段も、小学生時代、本大会に参戦している。「テーブルマークこども大会」は、子どもたちに将棋の楽しさを伝える大会であると同時に、トッププロの登竜門ともなっているのだ。
そして夕方からは、いよいよ「JTプロ公式戦(通称JT杯)」決勝。将棋界の世代交代が進む中、今年はベテラン勢が勝ち残り、渡辺明JT杯覇者vs広瀬章人竜王の頂上決戦に。持ち時間が短い「超早指し」の本大会を90手で制し、連覇を達成したのは渡辺明JT杯覇者。観戦した子どもたちにとって、記憶に残る一戦になったに違いない。
昨今は、自ら思考する力や創意工夫する力の不足が指摘されている子どもたちだが、将棋は思考力や応用力を養うのに最適だとされ、文科省もクラブ活動などでの将棋を奨励している。
「指して学ぶ」と「見て学ぶ」が同時に体験できる「将棋日本シリーズ」、来年の大会に向け、家族ぐるみで参戦準備してみては?