“食品ロス”とは、本来食べられるはずだったのに捨てられてしまう食品のこと。栃木県那須塩原市が各種統計調査や市のごみ排出の実態から独自に試算した結果、食品ロスによって4人家族1世帯当たり年間約78,000円もの損失が生じているそうです。1人当たりに換算すると、年間約2万円。でも、捨てずに食べ切る工夫で、家計の負担を大きく減らすことができそうです。そこで、食品ロスを減らす調理の工夫を紹介していきましょう。
■ダブリ買いを防ぐ「冷蔵庫・冷凍庫スマホ撮影」
家にないと思って“ダブり買い”をした生鮮食品は、食品ロスの大きな原因の一つです。家庭の冷蔵庫に何が残っているかを把握するためにオススメなのが、スマホでの写真撮影。毎日細かく記録するのは大変な場合は、冷蔵庫を開き全体を1枚撮影するだけでOKです。おおまかな冷蔵庫の内容を把握することで、余計な食品の買い物を防ぎやすくなりますよ。
■冷凍庫にお肉を眠らせない「漬けワザ冷凍」
肉は冷凍保存がしやすいため、今すぐ使わないものは凍らせておくご家庭が多いと思います。しかし、解凍すると味が落ちてしまったり、うっかり冷凍庫の中で長期間眠らせてしまって食べられるかどうか不安になったりすることも。そうならないためにも、肉は料理に応じて下味をつけ、小分けに冷凍するのがよいでしょう。フリーザーバッグを活用して保存した日付や味付けを書いておくと、使用する優先順位をつけやすく、その日のメニューを考える手間も省けますよ。
エバラ食品コミュニケーション部 管理栄養士の菊岡裕子さんによると、冷蔵庫の中で眠ってしまいがちな「焼肉のたれ」を活用すると、手軽に肉に下味をつけられるだけでなく、食材の水分の気化を防いで美味しさをキープすることができるそうです。牛肉、豚肉、鶏肉など、さまざまな種類に活用可能な下味冷凍法をうかがいました。
【1】肉を袋に入れる
ジッパー付きのポリエチレン袋にお肉を1枚ずつ入れ、焼肉のたれを注ぐ。
※たれの量は、肉の重量に対して約25%が目安
【2】肉に味を染み込ませる
袋ごと軽くもみ、肉全体にまんべんなくたれが絡むように揉み込む。
【3】密閉・冷凍する
できるだけ空気を抜いて密封し、肉の重なりがなくなるよう平らにして冷凍庫へ入れる。
※下味を付けた冷凍肉は冷凍庫(-18℃以下)で保存し、約2~3週間を目安に使用する
※鶏もも肉は1枚肉だと加熱時に火が通りにくいため一口大にカットし、むね肉・ロース肉などパサつきがちな部位の肉は、そぎ切りで味が染み込みやすいようにして袋に入れると、美味しさをキープしやすい
食品ロスによる経済損失を減らす第一歩は、不要なものを購入しないこと。メモをしたり細かくチェックしたりして、家庭にある食材を把握してください。これらが苦手な場合は、写真の力を借りるのも手です。また、買ってきた食品で比較的長く保存できるものは、一手間を加えて使いやすさと美味しさをキープ。日々の料理に活用しやすいようにしましょう。無用な廃棄物を減らすことで、環境に優しいだけでなく家計も楽になりますから、積極的に取り組みたいですね。
(Nao Kiyota)