関西テレビが2月27日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、3月10日まで同局制作番組の一般観覧を中止すると発表。これにより、3月8日に生中継されるピン芸人No.1決定戦「R-1ぐらんぷり」も“無観客”で開催されることが決まった。
まさに究極の“独り漫談”となる。新型肺炎の蔓延が続き、政府が多方面にイベントやライブといった行事の自粛を要請する中、観客の笑いを必要不可欠とするこのR-1もまたその対象とされ、前代未聞の“無観客”お笑いコンペティションが開催されるのだ。
「人命を最優先とする政府の方針ですから仕方のないことではありますし、サッカーなどでは度々無観客試合が開催されることは珍しくありません。しかし、お笑い賞レース、とりわけピン芸人の漫談を競い合うR-1が無観客で実施されるというのは、挑戦者にとっては地獄の大会になるはず。相方のレスポンスや相槌を受けることができる漫才や、台本通りに進めて独自の世界観を作っていくコントの大会ならまだしも、客席の反応を相槌代わりとする傾向の強いピン芸人の漫談で、観客のリアクションが存在しないというのは壊滅的なダメージを食らうことも考えられますからね」(テレビ誌ライター)
そして、冷や汗をかくことになるのは参加芸人だけに留まらないだろう。
「観客の反応のボリュームを一切図ることができない状態で誰が最も面白かったかを決めなければならないという状況は、桂文枝、関根勤、久本雅美ら審査員側にも多大なる負担となるでしょう。一般層からのウケが分からない為、最終ジャッジはもろに審査員の好みや基準がベースとならざるを得なくなり、あまり斬新すぎるネタやエッジの効き過ぎた笑いを狙ってしまうと、総スカンに終わってしまうかもしれませんね。いずれにしても、無観客での強行主催が判定基準の公平性に大きく影響してしまう可能性もあるため、ネットでは『こんなもん日程かえたれや』『無観客にするくらいなら決勝戦の日を変えた方が良いと思う』と大会実施を延期すべきという声も出ています」(テレビ誌ライター)
一方で、「これは逆に実力派の芸人が上がってくるかもしれない」との指摘もあり、客の反応を一切排除した今大会こそが、実は“真の王者”を決める上での究極の決戦になり得るとする考え方もある。
あらゆる意味において、今年のR-1ぐらんぷりは注目に値する稀有なコンペティションとなるのは間違いなさそうだ。
(木村慎吾)