出産は新しい命をこの世に誕生させ、可愛らしい赤ちゃんと日々を過ごし始める幸せなスタートラインです。一方、産後すぐの子育てには気力と体力が不可欠。赤ちゃんの状態によっては、ママが十分に休めない状態が続くこともありますから、一過性のものでそれほど深刻ではないものの、気分の落ち込みや急な悲しみ、不安、不眠などが頻繁に起こる「ベビーブルー」を経験する産後ママは多くいるようです。そんな産後の時期を乗り越えるには、赤ちゃんだけでなく、ママのケアも欠かせません。
■産後ママは不調を感じても病院に相談しにくい!?
カラダノート社が2018年12月、『ママびより』のメルマガユーザー1,640名を対象に行った「産後うつに関する意識調査」の結果、8割弱の母親が産後に心身の不調を感じている一方で、実際に病院を受診するのは2割だったそう。不調を感じても病院を受診しなかった母親にその理由を尋ねたところ、およそ半数が「病院を受診してもいいかわからなかった」と回答。これに、「(ホルモンバランス等)一過性のものだったから」「時間経過とともに改善したから」(16%)、「時間・余裕がない」(12.7%)が続いていました。産後のママは自身の不調に気付いても、気軽に自身のケアに取り組めないようです。
■産後の不調は「産後うつ」の可能性も
同調査では、心身の不調があって病院を受診した母親271名のうち、66人(24.3%)が「産後うつ」と診断されたことも判明。産後うつと診断された時期は、産後3ヵ月以内(77%)が最も多く、子どもは第一子(69.7%が)が最も多かったそうです。
■出産直後は赤ちゃんだけでなくママのケアも必須!
しっかり休むことで、前向きに育児に戻れるようになるベビーブルーとは異なり、気分の落ち込みが激しくなる、食欲がなくなる・食べ過ぎてしまう、赤ちゃんを可愛いと思えない、眠れない・寝過ぎてしまう、イライラしてすぐに怒る、無気力になる、パパを避けるなどの症状が出てそれが2週間以上続いたり、育児に集中できなくなったりするなどに発展すると、「産後うつ」の可能性があります。
産後うつの原因はさまざまといわれていますが、そもそも産後はホルモンバランスが変化して心身に変化が起こりやすいうえ、慣れない育児に奔走するあまり、知らず知らずのうちに体調を崩しやすい時期です。ママは自分のケアを後回しにしやすく、「(育児は)みんながやれていることだから」と、病院などに助けを求めずに苦しんでいる状況も多いようです。子育てで不調になるのは「母親としての資質が足りなからだ」と思わずに、ママ自身が家族や医師のサポートを積極的に求める姿勢も大切ですね。
ママが不調では、赤ちゃんが幸せに過ごすことは難しいもの。“ママが元気なことこそが赤ちゃんのため”と、不調を我慢せず気軽に病院で診てもらったり、家族や友人にサポートしてもらったりする勇気も重要です。産後の体調は赤ちゃんの様子にもホルモンバランスにも左右され、ママ自身がコントロールしにくい部分。ママは「産後うつになるなんて、恥ずかしい」と思わずに、また周囲は「ママになったのだからしっかりしないと!」と思わずに、多くの大人で助け合える環境を作っていきたいですね。
(Nao Kiyota)