あなたは、PMS(月経前症候群)や生理痛、更年期症状などがひどくて仕事を休みたいと思ったとき、職場にどのように伝えていますか? きっと、「PMSなので」「更年期症状がひどくて」などとは堂々と言えないのではないでしょうか。
ホルモンケア推進プロジェクトの調査によると、『更年期が仕事に及ぼしたこと』についての回答として、「集中力やモチベーションの低下」「人間関係の問題」などが高い割合になっており、仕事のさまざまな側面で影響を及ぼしていることが分かりました。
また、厚生労働省の『更年期症状の対応調査』では「産婦人科を受診した」は 18.3%で、更年期の自覚や症状があっても「対策が分からず我慢」していることがみえてきます。
とくに、更年期の女性はキャリアのピークとタイミングが重なり、「企業に大きく貢献できる時期に健康問題が重なってしまう……」と問題視されています。
女性が管理職に就く年齢が更年期とかぶる人も多く、せっかく責任のある仕事への昇進を打診されても、辞退を考えている女性も多いのです。日本医療政策機構による『働く女性の健康増進調査』には、約7割の女性が「更年期を理由に昇進辞退を検討した」というデータもあるほどです。
一方、企業は健康経営の課題として更年期を挙げながらも、現場にその理解が浸透していないのが現状のようです。そんなはがゆい状況がある中で、女性の健康の悩みをテクノロジーで解決するのが「フェムテック」です。
フェムテックとはFemale&Technologyのことで、「テクノロジーを使って女性の健康ニーズに取り組むこと」を指します。その市場規模は、米国を中心に2025年までに5兆円規模になると予測されており、国内外で注目を集めています。
とくに、オンラインで婦人科医などの医師に相談できるサービスは、忙しい働く女性の大きな助けになりそうです。例えば、更年期に特化した悩みを女性医師に相談できるサービスを提供する『TRULY』は、これを法人向けにスタート。丸の内の森レディースクリニック院長で医学博士の宋美玄さんがプロデュースに関わっていて、更年期はもちろん、生理やPMS、人に話しにくい心の悩みまで、チャット形式で気軽に相談できるというものです。
「女性は毎月のホルモンの変動による体調のゆらぎがありますし、妊娠・出産・産後、そして更年期というように、ライフステージごとに大きな変化が訪れます。これらの女性特有の疾患・症状は個人の体調だけでなく、仕事の生産性にも大きな損失を与えていることが明らかになってきました。実はそれらの多くは、婦人科を受信すれば保険診療で軽減できるのですが、働く女性の中には婦人科を受診する時間がなかったり、なんとなく足が向かなかったりというケースも多いようです。そういった方々のためにも、時間帯を問わずオンラインで女性医師に相談できてアドバイスが受けられるサービスが、 これからの時代において重要だと考えています」(宋美玄さん)
会社がこういったサービスを提供してくれれば体調不安もすぐに相談でき、思いきり活躍できそうですね。
その他、生理の領域のフェムテックには、オンラインピル処方の『スマルナ』やオンライン診療が受けられる『ルナルナオンライン診療』もあり、更年期だけでなく、女性特有の悩みを抱える若い働く女性にとっても有効活用できそうです。
今後、こうしたサービスが増えていけば、女性たちの“我慢”も減っていくはず。今まさに我慢している人は、こうしたサービスを利用することから始めてみるのもいいかもしれません。