赤文字雑誌と称される女性誌のなかでも最古参だった「JJ」が2021年2月号をもって月刊誌としての発行を終了。今後は不定期刊行になると出版元の光文社が発表し、かつての愛読者たちを驚かせている。
「JJ」は1975年に「女性自身」の別冊として隔月刊誌として創刊され、1978年に月刊化。20代女性のファッションをリードする存在となり、後発の『CanCam』(小学館、1982年創刊)、『ViVi』(講談社、1983年創刊)、『Ray』(主婦の友社、1988年創刊)と共に赤文字系雑誌のトップランナーとして業界をけん引してきた。
「しかし出版界を襲うネットの波は女性誌をも直撃。かつては『服の価値はネットでは分からない』『試着の出来ないネットには向かない』と言われてきましたが、前澤友作氏が創業したファッション通販サイト『ZOZOTOWN』が若者たちの心をつかむなど、徐々にネット化が進行していきました。かつては数十万部を誇っていた『JJ』も今では最盛期の10分の1以下に激減との噂ですし、その一方でモデルを起用した撮影が欠かせないことから制作コストは高留まり。もはや定期刊行を維持できるだけの部数が保てなくなってしまったようです」(女性誌ライター)
そんな「JJ」の月刊誌終了を嘆くのは、同誌を読んでいた30代超の世代がほとんど。今どきの女子大生はそもそも雑誌からファッション情報を得るという発想に乏しく、「JJ」や赤文字雑誌と言ってもピンとこないようだ。それでは全盛時の「JJ」はいったいどれほど支持されていたのか、前出の女性誌ライターが振り返る。
「私は1990年代に書店でアルバイトをしており、当時は毎月23日になると店長から『今日はJJの発売日なのでスタッフさんは頑張ってください!』との指示が飛んだもの。書店スタッフはまさに厳戒態勢で臨んでいました。書店は通常、開店直後の午前中はあまりお客さんがいないのですが、『JJ』の発売日に限っては朝イチから女子大生を中心に若い女性がわんさかと押し寄せ、奪うように『JJ』を手に取っていったもの。発売日が土曜日になると女子高生やOLも加わって大変なことになっていました。あのころの熱気を懐かしく思う人はもうオバサンなんでしょうね」
バブル崩壊の影響もほとんど受けなかったと言われる女性誌だが、ネットの波には勝てなかったようだ。
(白根麻子)