お笑いタレントのビートたけしが12月24日放送の「ビートたけしの公開!お笑いオーディション」(TBS系)に生出演し、的確かつ“超辛口”なコメントでお笑い好きを唸らせた。
2020年度のM-1グランプリを制したマヂカルラブリーを始め、とろサーモンら歴代の王者も出場した「お笑いオーディション」。たけしの目の前で渾身のネタを披露し、たけしが面白いと判断すればネタの続行を許され、逆につまらなければカーテンを閉められてしまうという過酷なルールである。
20日にM-1王者となったばかりのマヂカルラブリーは爆笑をさらった「電車の吊り革」ネタをたけしにお披露目。過剰に揺れる電車内での動きをコミカルに見せたが、途中、カーテンを閉められる場面もあり、たけしからは「ああいうのが子供とかお婆さんとかが笑ってくれて勘違いしちゃうんだよ。生意気な男は笑わないんだよ」と辛口なジャッジが下された。
また、マヂカルラブリーがM-1の王者となったことをその場で知らされると、たけしは「これ優勝しちゃったの? じゃあ(世間は)文句言ったろ。漫才じゃないとか何か」と物議を醸す可能性があることを指摘。続けて、正統派漫才師として長く活躍してきたオール巨人を引き合いに出し、「巨人ちゃんなんか文句言いそうだな」とも語っている。
他にも、たけしは2017年度のM-1王者であるとろサーモンがネタを見せた際、途中でカーテンを降ろし、「これが上沼恵美子の悪口言った奴」とかつての暴言騒動をイジると、当事者の久保田かずのぶも「やめてください師匠、それだけは」と困惑。最終的にはとろサーモンの漫才のクオリティについて「うまい。あいつら上手いな。合格にしちゃおう」と高評価を下していた。
「M-1王者だろうが容赦なく毒のあるコメントでバッサリ斬りつつ、愛のある“ガチの批評”を見せてくれました。M-1グランプリについては放送を見ていないと明かしながら、大会後に巻き起こったマヂカルラブリーのネタに対する『漫才か否か』の論争を言い当て、オール巨人が物申す可能性があるともコメント。実際、巨人はマヂカルラブリーには最終票を入れず、『僕は漫才師だから、喋りを中心に見てしまいました』と、より正統派な漫才を披露した見取り図を選んだ理由を説明していました。上沼への暴言騒動をイジるなど、一連のたけしによるボケとガチのお笑い批評が見られ、視聴者からも『毒ガスの嵐だったけど、かなり鋭いコメントで若手芸人は参考になったと思う』『実力も能力も人を見る目も人柄も、全てが卓越してる』『たけしさんの原点はやっぱりお笑いなんだなぁってつくづく思いました。後輩を評する時に毒の中に優しさを感じられたので』と大好評でした」(テレビ誌ライター)
M-1王者に対し、大会から数日後に「これ優勝しちゃったの?」と批評できるのは芸能界ではたけし以外にいないだろう。一切の忖度がない“たけし版お笑いグランプリ”こそ、芸人にとっては最も熾烈なコンペティションなのかもしれない。
(木村慎吾)