好きな人と幸せな恋をしていたい。誰からも祝福される結婚をしたい……。女性にはそんな“幸せ願望”がありますね。でもその一方で、逆境に立ち向かうような激しい恋愛に憧れる側面もあるのではないでしょうか。だからこそ、世の中ではさまざまな恋愛を描いた映画やドラマが流行ります。
その代表作品といえば、やはりウィリアム・シェイクスピアの戯曲「ロミオとジュリエット」です。相思相愛にも関わらず、不幸な事件や周囲の反対で離ればなれにならざるを得なかったロミオとジュリエットのお互いへの気持ちは、どんどん強く膨らんでいきました。
そしてまさにこのストーリーこそが、心理学者R.ドリスコールが【ロミオとジュリエット効果】と名付けた、「人はなんらかの邪魔があるほど恋が燃え上がるもの」という説につながるのです。
ドリスコールらは、交際中の男女や既婚の夫婦に、交際中の親の妨害度と恋愛感情の強さについて調べました。その結果、妨害が強いほど、2人の恋愛感情は強まる傾向にありました。その理由は、心理学でいう【自己知覚】。これは、一言で言えば「勘違い」。親の反対によって興奮状態になったときに、それを恋人の魅力によるものだと勘違いしてしまうわけです。
もうひとつの理由としては、【リアクタンスの心理】が挙げられます。これは、「人は人の意見とは反対のことをしたくなる」という説のこと。さまざまな実験の結果、実際に人は人の意見とは反対のことをしたくなるという心理を持ち合わせていると考えられていますので、逆境の恋愛ほど2人の思いが盛り上がるのはごく自然なことといえるのです。
そしてもちろん。このような激しい恋をするには、ある意味、心や環境の基盤のようなものが必要になります。
そのひとつが、まずは本人の気持ち。恋について普段からよく考え、盛り上がりたいという願望が強く、そういう恋愛が現実に存在するはずだと信じる人だからこそ、激しい恋になりやすいということです。
ふたつめは、激しい恋に至るような相手が実際にいるということです。どんなに望んでも、現実の出会いがなければそういう状態にはなれません。逆にいえば、そういう相手が目の前に現れ、実際に恋愛関係を結べる状況になったからこその関係です。ある意味、恋愛体質で恋を呼び寄せる力のある人ともいえます。
あなたの彼への気持ちが極度に盛り上がってきたときには、チラッとこれらのことを思い出してみてください。そして、本当に彼を好きなのか、単に状況や環境から興奮状態になっているだけなのか、少し冷静な気持ちで見極めてみてください。
恋の先には愛がある。その愛を、その彼に貫けそうかどうか。それが、結婚する相手かを見極めるときには大切なことなのかもしれません。
(恋愛カウンセラー・安藤房子)