近年、家族のコミュニケーションが希薄化しているといわれていますが、このことから“相続トラブル”が急増しているようです。相続実務士の曽根恵子さんによると、日頃から相続相談を受ける中、相続トラブルで多いのが次の内容なんだそうです。
第1位 主張の対立
遺産の分け方で家族の意見が平行線となるものとして、とくに「生前、親を介護したのに、相続の分け前が他の兄弟姉妹と均等なのは不公平」というものがあります。こうした主張により、兄弟姉妹間でトラブルになるケースが多発しているとか。
第2位 財産開示をしない
亡くなった親と同居していた子どもが親の財布の紐を握っており、他の兄弟姉妹に親の財産を開示しないというケースは非常に多いとか。例えば、両親が亡くなり、遺された2人姉妹で両親の財産を相続することになったケースでは、両親と同居して財産管理していた長女が次女に通帳を一切見せず、一人占めしたなんていう事例も。結局、この姉妹は絶縁したそうです。
第3位 不動産の分け方
不動産は、財産として分けにくいのが難点。親の相続の際、子どもが3人いたりすると分けられないことも。実際、3人姉妹が亡き父が残したビルとマンションを3分の1ずつ共有することにしたものの、すぐに対立が始まり、話し合いが硬直状態になってしまったケースも。お金に換えればいいものの、父が遺した大事なビルやマンションなので手放しづらく、こんな結果になってしまったとか。
これらのトラブルの解決策として、故人がしっかりと遺言書を残しておくことや、普段から家族がコミュニケーションを密に取っておくこと、財産情報はオープンにしておくことなどが必要だと、曽根さんは強調します。
また、最近では相続の生前対策をサポートするサービスも増えており、それらを利用するのも一つの方法とか。例えば、曽根さんが代表を務める夢相続社が開発した、スマホで介護の状況を記録できる『家族をつなぐ介護ノート』アプリや、はなまる手帳社が提供する、相続でもめる危険度診断や専門家への相談が手軽にできる無料サイト『はなまる手帳』などがあります。
相続トラブルは、もはや他人事ではなくなっている時代。自分の家族が今回の事例のようにならないとは言い切れませんから、早めに備えておきたいものですね。