人と同じような行動を取る【同調行動】。実は私たちは、普段の生活の中でも無意識のうちに同調行動を取っているのです。
とくに、いわゆるマナーには同調行動がたくさんみられます。電車の中で、年配の人や妊婦さんには席を譲りますよね。また、深夜は静かに過ごすことが当たり前と考え、日中よりも音をたてないようにして過ごします。人前で咳き込むときには、口を押えたり違う方向を向いたりと、一緒にいる人に気を使います。ご飯をごちそうしてもらったら「ごちそうさまでした」とか「ありがとうございます」などとお礼を言いますし、朝の外出前や夜に眠る前には歯磨きをします。
マナー以外の部分でも、同調行動はみられます。例えば、将来の職業を決めるときには両親の願望や世の中で人気がある職業の傾向を参考にしたり、ある程度の年齢になると結婚を考えたり、会社に行くときには真夏でもスーツを着たり……私たちの毎日は同調行動だらけです。
では、私たちはなぜ同調行動を取るのでしょうか。答えは2つ。1つは、周囲から好かれたいという願望があるからです。好かれたい、いざこざを起こしたくない……だから私たちは、一般的といわれている行動を取りがちなのです。
もう1つの理由は、正しい人と思われたいから。周囲の人から「ちゃんとした人」と思ってもらうことで、自分も満足できるし社会生活を普通に過ごしていけるのです。だから私たちは、無意識のうちに周囲と同じことをするわけです。
このように、もともと私たちが日常生活において行なっている同調行動。恋愛のときには好きな相手に対しての行動なわけですから、なおさら同調行動を取ることになります。例えば、次のような同調行動がよくみられます。
・相手が提案してくれたデート場所にOKを出す
・デートで食事のとき。相手と同じメニューをオーダーする
・相手が飲み物をお代わりしたら自分もお代わりをしたくなる。
・相手が脚を組んだら自分も脚を組む
・スポーツに興味がないのに、スポーツ観戦に行こうと誘われてイエスと答える。
これらの同調行動は、もちろん好きな人に好かれるには効果的です。ただ、同調行動を取り過ぎることによる問題点が2つあります。
1つは、同調行動を行い過ぎると、逆に相手から距離を取られることもあるということです。あなたが何にでも「うん、そうだね」とばかり話していたら、相手としては面白くなくて物足りないと感じ、あなたと会う回数を減らそうと考える場合があるのです。
もう1つは、あなた自身の心が、圧迫されたような苦しさでいっぱいになるかもしれないということです。自分では、好きな相手にイエスと言っているだけのつもりでも、実は自分の本心を隠しての言動だったりする場合があるからです。そうならないように、ときどき自分に問いかけてみたいですね。「私は今、本当に思ったことを話している!?」と。
以上の2点に気を付けながら、上手に同調行動と付き合いながら、好きな人に好かれて幸せな恋愛をしてくださいね。
(恋愛カウンセラー・安藤房子)