俳優の東出昌大が10月7日、ニュースサイト「ENCOUNT」のインタビューに登場。東出は10月8日に公開された映画「草の響き」で3年振りに映画主演を務めており、作品や役についての思いを語った。
同映画の原作は1979年に発表された作家・佐藤泰志の同名の短編小説。東出は心に失調をきたし、医師に勧められるまま、治療のために雨の日も真夏の日もひたすら同じ道を走り、記録をつけることでやがて心の平穏を見出していく和雄を演じる。
病んだ人物を演じることについて、東出は「佐藤泰志さんは苦しみの中、この物語を書いたかもしれません。撮影中に心がきついお芝居をすると、僕らもケロッとしていられるわけじゃなく、役に気持ちが引っ張られれば、苦しい思いもするんですけれども、そうして撮れたものが、苦しい境遇にある方の肩の荷が下ろせるようなものになっていたら、と思ったりもします。おこがましいんですけれども」と語った。
ネットでは《愛すべき人達を「苦しい境遇」に追い込んでおいて、よく言えるなぁと思ってしまった。もうどうしてもこの人を好意的には見られないし、何を言っても曲がった受け取り方しか出来ない》《まぁ不貞は犯罪じゃないし個人の問題だしとは思うけど、演技が上手いわけでもないのに主演できるもんなんですね》など、過去に不貞騒動の末に女優の杏と離婚したことを絡めた辛辣な言葉がずらり。
「不貞騒動についてはプライベートのことなので、演技とは切り離して考えるべきでは。《棒演技》《演技が下手》などと揶揄されることも多い東出ですが、実は『スパイの妻』の黒沢清監督や『寝ても覚めても』の濱口竜介監督など名だたる映画監督にその演技力を評価されています。黒沢監督は『あやしいんですよね。妖怪の“怪”のあやしさもあるし、“妖”のあやしさもある。あやしさを持っていて、出てきた瞬間に何かが起こりそうなところが大好き』と評価。濱口監督は『とても大きいから、集団のなかでもひときわ目立つし、黙って立っている時の異質な感じがすごい』と存在感の強さを絶賛しています。
一般的に“演技力”とは台詞の聞きやすさとか動きが美しいとか無駄がないとか、感情が読み取りやすいとかで語られることが多いですが、もともと明確な基準はありません。あるとすれば“嘘っぽくない”ことぐらい。もともと芝居は、嘘を本当のことのように見せるわけですから。東出の発声は舌足らずなところはありますが、それもある意味耳に残る個性ですし、存在感の強さは言わずもがな。オールマイティに役をこなすタイプではないですが、ハマる役では強烈な個性や存在感を出す俳優と言えるでしょう」(芸能記者)
今回の役について「思っていた以上に、病んでいる和雄が自分勝手な男に見えて、驚きました」と明かしていた東出。新作映画でも想定以上に役にハマったようだ。
(柏原廉)