お笑いコンビ・錦鯉が12月19日開催の「M‐1グランプリ2021」(テレビ朝日系)で優勝し、スキンヘッドのボケ担当・長谷川雅紀が相方への感謝を口にした。
コンビ結成10年目の錦鯉は、50歳の長谷川と43歳の相方・渡辺隆という、いぶし銀漂う“若手ベテラン芸人”で、この日は史上最多6017組のうちの1組として参戦。1本目は、気合の入りすぎた50代が合コンで空回りするネタを披露し、審査員の中川家・礼二から96点、上沼恵美子からも95点と高得点を獲得すると、合計655点で2位に滑り込む。
最終決戦ではサルの捕獲に悪戦苦闘するネタで会場を爆笑の渦へと巻き込み、サンドウィッチマン・富澤たけし、ダウンタウン・松本人志、立川志らくを含めた、計5票を獲得。みごと17代目の王者に輝いた。
大会後の会見にて、長谷川は「優勝という結果が出た時に、相方が僕に抱きついて来て、耳元で『ありがとう』って言ったんです。それで涙があふれてきちゃって。しかも、普段、ヒトに『ありがとう』って言える人じゃないから、余計にギャップでやられて」と優勝決定直後に号泣してしまった理由を説明。また、“今、いちばん感謝を伝えたい人は?”と聞かれ、「僕は相方の渡辺さんです。錦鯉を結成する時、すでに渡辺さんが33歳で、僕が40歳だったんです。前のコンビが解散して、もう辞めようかなと思ってた時に渡辺さんが誘ってくれて、40歳の時に錦鯉を結成した。時間は掛かりましたけど、50歳でこういうカタチになったっていうのは渡辺さんのおかげです」と、相方に感謝の思いを伝えた。
歴代最年長となる50歳でのM‐1チャンピオンに輝いた長谷川だが、今後のキャリアの目標には「僕はなんにしろ、スタートが遅いので、自分のせいでズルズル時間がかかっちゃったと思う。ただ、ダウンタウンの松本人志さんの名言で『魂は歳を取らない』というのがあるんですけど、オッサンだからとかそういうことじゃなくて、頑張ろうっていう気持ちで。体が動かなくなっても言葉とか使って、なんかやっていきたいですね」と意気込みを見せた。
「錦鯉としては10年目の長谷川ですが、芸人としてのキャリアは長く、1994年に札幌吉本が発足したのをキッカケに劇団員からお笑いの世界へと転身。芸歴は27年にも及び、実はロンドンブーツ1号2号や、バナナマン・設楽統、小籔千豊といった面々と同期になります。しかし、彼らとは違い、そのキャリアは波瀾万丈で、今年1月時点でも、長谷川と渡辺はともにアルバイトを辞めることができず、同30日放送の『おかべろ』(関西テレビ)にて、『まだ、バイトの籍は置いています。(芸能界は)何が起こるか、わからないので』とコメント。
それから11カ月が経過し、いい意味で“予期せぬ”M‐1優勝という快挙を達成することに。苦節27年を乗り越え、優勝決定後に涙の抱擁を見せた2人には、世間から『優勝おめでとうございます!』『こちらまで、もらい泣きしてしまいました』『50歳で優勝というサクセスストーリーで夢がある』『中高年の星になりましたね』『まさのりさんの涙でこっちも瞬間的に感動が押し寄せてきた。気が付けば涙があふれてたよ』『腹を抱えて笑いました。ありがとうございます』など祝福の声が寄せられました」(テレビ誌ライター)
長谷川と渡辺がアツい抱擁を交わし、号泣する光景には、審査員の富澤やナイツ・塙宣之ももらい泣きするシーンがカメラに抜かれていた。
苦労を重ねてきた2人のキャリアを知る人間にとっても、M-1優勝という快挙は込み上げるものがあったようだ。
(木村慎吾)