出産を考えている人にとって、“妊娠力”を上げることは大事です。エジンバラ大学で未成熟卵の培養法などを学んだ技術と自らの不妊体験を生かし、医療法人オーク会で不妊治療を行う医師の船曳美也子さんによると、妊娠力を下げることがはっきり分かっている要因は「年齢、肥満、喫煙」の3つなんだとか。それぞれの対策も合わせて詳しく教えていただきました。
■年齢
「女性は20代前半をピークに32歳頃から少しずつ、37歳頃から大幅に妊娠力は低下します。女性は平均50歳で閉経しますが、男性も50歳では20代の約7割の妊娠力になります。現状可能な対策としては、卵子凍結です」
■肥満
「意外かもしれませんが、肥満も妊娠力を低下させます。BMI30以上の場合、月経不順や運動精子の減少が増える傾向にあります。肥満も2種類ありますが、問題になるのは内臓肥満の増加、いわゆるメタボリックシンドロームです。内臓脂肪から炎症物質が出るため、血管を守るホルモンが減少するためです。対策としては、ダイエットです。体にとってのベストはBMIが22ですが、30以上の場合はまず25にすることを目標に1ヵ月1kg程度、1日15分歩く習慣をつけましょう」
■喫煙
「タバコは抗酸化力を下げるので、卵子や運動精子の数を減らすことが分かっています。現在は問題なくても、将来に影響するので禁煙しましょう」
年齢については自ら対策を取るのは難しいですが、肥満や喫煙については意識して変えることができますね。また、妊娠しやすい身体づくりのためには、どんな生活習慣を心掛ければいのでしょうか。オススメの方法を教えていただきました。
「まず睡眠。睡眠をたっぷり取ることが重要です。食生活で摂り入れたい栄養としては、葉酸やビタミンDとビタミンCです。葉酸は細胞分裂に必要で、妊娠初期に低下していると胎児の疾患に関係します。ビタミンCは抗酸化力を高め、ビタミンDは子宮の着床力を高めます」
最近では、将来の妊娠に備えた身体づくりをしておく「プレコンセプションケア」に取り組む女性が増えてきているそう。“妊娠力”を上げておきたいと考えている場合には、すぐに妊娠する予定がなくとも、産婦人科に相談してみるといいでしょう。