お笑いタレント・劇団ひとりが1月29日放送の「中居正広のニュースな会」（テレビ朝日系）に出演し、JR宇都宮線での男子高校生への暴行事件について言及した。
1月23日の正午、走行中の電車内で、優先席に寝そべりながら喫煙をしていた飲食店従業員の男性に対し、同じ車両にいた17歳の高校生が「やめてもらえませんか」と注意。これに逆上した男は高校生に殴る蹴るの暴行を浴びせ、駅のホームでも暴行を続けると、高校生は顔面骨折などの重傷を負った。
MCの中居正広が「今週、考えさせられるニュースがありました」として同事件を紹介し、意見を求められた劇団ひとりは「この学生さんは素晴らしいと思うんですけど、ただ、この事件に限らずですけど、あおり運転の連中とかもそうだけど、話が通じる相手じゃないですからね」とコメント。車内喫煙を注意した高校生の振る舞いを讃えつつ、「注意して、それで『あっ、すいませんでした』っていうんだったら、そんなことハナからやってないから。近づかないかな、僕はね」と、関わらないことが賢明だと語った。
また、同事件をめぐっては高校生が暴行を受けている間、車内のほかの乗客は男性を制止せず、傍観していたとも伝えられている。これに対して、番組では専門家の見解として、加害者を刺激することなく、別の車両に移動してから車内の「SOSボタン」を押し、車掌に伝えることがベストだと推奨。これについて、ひとりは「でも、車掌さんも呼び出されても大変ですよね。別に格闘技の訓練をしているわけじゃないだろうし」と述べると、「結構いろいろなニュースで、『周りの乗客は止めなかった』って、言いますよね。『周りのヤツは何してたんだ』って言い方、すごいわかるけど。いや、止めらんないでしょって僕は思いますけどね」と主張した。
中居も「自分以外でトラブルが起きているところに入って、巻き込まれてしまったら2次被害のこともありますし、そのトラブルに巻き込まれて大きなトラブルになりかねないわけですから」とし、仲裁に入ることによってトラブルが大きくなる可能性を危惧。ひとりは「電車で刃物持った男の時もすごい言ってたけど。いや、動けないだろ、普通って思いますけどね」と恐怖のあまり、止めに入ることができないことへ理解を示した。
「ネットやSNSでも、高校生への暴行を続けた男性を、周囲の乗客が止めなかったことに関して、『むしろそっちの事実のほうが怖い』『止めずに殴られるのをただ見続けてたってこと？』『なぜ止めないのかが信じられない』との声が出ていました。しかし、ひとりや中居の指摘するように、仲裁に入ることで、2次被害に巻き込まれてしまうリスクを恐れてしまうのも無理はありません。また、男が刃物などの武器を所持している可能性もあり、やはり警察や車掌に連絡をするのが安全かつ効果的な対処法といえるでしょう。世間からも、ひとりの見解について『そりゃそうでしょうね。この犯人が格闘技をやってないって保証もなければ、ナイフを持ってないって保証もない。むしろこんなことするヤツはナイフを隠し持ってても不思議じゃないからね』『その場に居合わせた人だって怖かっただろうし、止められなかったことに対する自責の念とかもあるかもしれない。その場にいなかった人間が安易に理想論を語るべきじゃない』『自分の子供とかなら、何とか守ろうと動けるかもだけど、実際に暴行を受けている人を救い出せるかっていったら、立ちすくんでしまうと思う』『正義感で注意した学生に対しても“よくぞ言ってくれた”より“余計なこと言うな、面倒なことになるから”って思う人もいるんじゃないかな』などの声があり、仮にその場に居合わせたとして、男性を止めることができたかどうかはわからないとする人が多かったです」（テレビ誌ライター）
周囲の対応の是非も含めて、様々な面で考えさせられる事件だったと言えそうだ。
（木村慎吾）
