フィギュア元世界女王の安藤美姫が2月21日放送の「バイキングMORE」(フジテレビ系)に出演し、ドーピング騒動に揺れる北京五輪・フィギュアスケート女子シングル暫定4位だったロシアのカミラ・ワリエワについて言及した。
15歳のワリエワは、昨年12月に採取された検体から禁止薬物が検出され、ドーピング違反が判明するも、スポーツ仲裁裁判所の決定により、北京五輪の個人種目に出場。世界中で大きな物議を醸しているロシアのアスリートをめぐるドーピング問題だが、MC・坂上忍から「美姫ちゃん、ぶっちゃけさ、ロシアの選手ってドーピングやってる人多いの?」と振られた安藤は「スケート界の中で見ますと、聞かないですね。フィギュアの中では私は世界的に聞いたことがありません」と返した。
続けて、「私は聞いたことがなかったので、今回のワリエワ選手のドーピングも真偽が知りた過ぎて。今回、見つかったのが、心肺機能を強くするとか、回復が早くなるものじゃないですか。私はドーピングはやってはいけないと思ってますし、ましてやチャンピオンになる実力のある選手だったので、ダメはダメなんですけど、ワリエワ選手に関して言えば、心肺機能が高いからって、あの技術は習得できないんですよ、正直」と語り、ドーピングとワリエワの技術力には相関関係がないと主張した。
さらに、安藤は「薬で心肺機能が上がって、何時間も練習できたから、あの滑りの美しさや感情、技術力をみんなが取得できるかと言ったら、そうではない。彼女の技術、洗練された美しさとかは、彼女のポテンシャルなんです。そこは切り離してほしい。練習がいっぱいできるからこうなるのは当たり前だというのは違う。私が同じようにいっぱい練習して、ここまで美しく、ここまで4回転が跳べたかと言ったら、絶対そうではない。スケートって、そんな単純なスポーツではないんですよ」と持論を述べた。
「2002年には公式大会で女子選手史上初となる4回転ジャンプを成功させた偉業を誇る安藤の見解には一定の説得力がありますが、心肺機能向上による恩恵は技術面以外の部分にも大きな影響をもたらすとして、ネット上には、『なんだか論点がズレているような気がする。例えば2分しか持たないスタミナを4分以上待たせるスタミナを身につけられると仮定したら、ドーピングは思いっきり影響があります』『ドーピングと技術が別なのは当たり前。ドーピングしたからといって、誰でもあの演技ができるわけでもないのも当たり前。だからといって、心肺機能の強化が無意味というわけではないだろう』『ベース部分の心肺機能が上がれば、日頃の練習・トレーニング自体のレベルが跳ね上がるので、安藤さん自身がこういう風に発言されるのは非常に違和感があります』『心肺機能を強くして、回復が早くなって、何度も練習できないとあの技術は習得できないと思います』などといった反論が見られ、『では、あるはずのポテンシャルのみで勝負すればいいだけのことじゃないの?』との声もありました」(テレビ誌ライター)
15歳のワリエワが自らの意志でドーピングをおこなったかはさて置き、五輪に出場する以上は、あらゆるルールがフェアに励行される必要がある。また、安藤が絶賛するほどのポテンシャルや才能をワリエワが秘めていたとしても、こうした疑惑が浮上することにより、それらが正当に評価されなくなってしまうという弊害もある。
こんな議論が起きてしまうのは、不断の努力でトレーニングに全てを捧げてきたアスリートにとって、ドーピング問題は非常に罪深いものであると言えるかもしれない。
(木村慎吾)