「今の彼はこれまで出会った人の中でいちばん好きなのに、いちばんイライラするし喧嘩もしてしまう……。他の誰に対してよりも強い言葉を投げかけて、泣いたり怒ったり……」という経験はありませんか?
心理学者のアドラーによれば、大好きな人への怒りは「裏切られた」という気持ちからくるのだそうです。他の人よりもその人のことを信頼しているし愛している。理解し合いたいしそうできると思っている……。そんな相手だからこそ、思いとは違うことが起きたときの怒りが、他の人に対してより大きくなってしまうのです。
好きだからこそ悲しくなる。好きだからこそ怒りたくなる。好きだからこそ……。そんな、もともとの感情がまったく逆の感情に変化してしまうことを、心理学では“カタストロフィー”といいますが、まさにその感情なわけです。
では、このような好きな人に対しての何とも強い怒りの感情は、いったいどうすればよいのでしょうか? それは、怒りの感情を持つ自分を、もうひとりの自分が冷静にみつめること。そして、「今の私の怒りの感情はどこから来ているの?」と、自分に問うてみることです。落ち着いて考えると、本当は好きだから怒ってしまっていることがよくみえてきますよ。
また、考えることで怒りが爆発するのを防ぐこともできます。怒りを爆発させてしまうと、相手との関係に大きな溝ができることがあります。取り返しのつかないほどの大きな溝ができるときもあります。そうならないためにも、そうなる前に自分の怒りの本質をみつめて沈めてくださいね。怒りはコントロールできるのですから。
安藤房子(あんどうふさこ) 作家・恋愛心理研究所所長。離婚を機に日本初の恋愛カウンセラーとして独立。メールカウンセラーの草分け。心と身体両面からのアプローチで婚活・恋活女子を応援。著書は韓国・中国でも翻訳出版。心理テスト作成やメディアでMCとしても活躍中。