12月11日、「M‐1グランプリ」を主催するテレビ朝日系列で緊急特番「M‐1衝撃瞬間SP」が放送され、同大会の審査員に新顔が加わったことが発表された。
4年ぶりに審査員の変更が行われ、初参戦となったのはお笑いタレント・山田邦子だ。“女性レジェンド枠”として上沼恵美子から引き継いだ山田に加え、漫才師・オール巨人の後釜には17年以来の復帰となる博多大吉が抜擢された。
上沼と巨人の両ベテランについては、数年前よりM‐1の審査員辞退を表明し続けてきた経緯があるが、ダウンタウン・松本人志をはじめ、同大会のプロデューサーらによる直談判もあり、“渋々”続投を決意してきた。しかし、そんな2人がついに正式にM‐1の舞台から姿を消したことで、ネットには「上沼さんと巨人さんの深い審査が見られないのは残念」と悲しむ声も上がっている。
巨人は長く漫才を愛し、予選での動向もチェックするなど、日本のお笑い界への熱い思いがあることは世間も知るところだが、審査員の辞退理由として“難解なネタ”の存在を挙げたことがあった。
今年6月8日放送のラジオ関西「Clip」にゲスト出演した巨人は、今年度のM‐1審査員を「もうやりません」と改めて宣言。そのワケを「わからん漫才があるんですよ」とし、「全ての漫才を理解したいと思うけど、例えばゲームのネタをやられて、そのキャラクターが出てきたら、そこまでわからんし、審査してええのかなと思う。大きな顔して座ってられへんな、というのも(理由の)一つ」と説明していた。
「お笑いファンの間では、巨人を大いに悩ませたのは、奇想天外な世界観で存在感を放ったランジャタイのネタだったのではないかというのがもっぱらの見方です。彼らは昨年のM‐1決勝の大舞台にあって、“耳の穴から猫が入り込んでいく”という破天荒すぎる設定の漫才を展開し、松本人志らほかの審査員からも『お前ら、決勝だぞ』『見る側の精神状態にもよりますね』など、あ然としたコメントが続出。SNSでも『ほぼ悪ふざけじゃん』との声が飛び交ったランジャタイに対し、正統派漫才を好む巨人は1stラウンドで87点の最低得点を付けると、Finalラウンドでも、唯一漫才の形を保っていたオズワルドに最終票を入れています。また、今年の新年1発目の公式ブログでも、ランジャタイについては『奇抜なネタ』とし、『(決勝ネタではない)もう少しわかりやすいネタがあったのに残念です!』と指摘。しかし、最近では20年王者・マヂカルラブリーのように、漫才の概念を覆すような流れも起き始めており、巨人からすると、もはや自分の出番ではないと感じたのかもしれません」(テレビ誌ライター)
時代の経過とともに、審査員サイドにも新たな価値観をベースにした判定基準が求められるのかもしれない。
(木村慎吾)