人気のタレントや女優が、大みそか恒例の「紅白歌合戦」(NHK)の白組、紅組の司会を任せられ、失敗する光景は微笑ましくもある。しかし、プロであり、同局の看板アナウンサーが間違えるとなると話は別だ。
最も有名な“言い間違い”は、1984年の「ミソラ事件」だろう。
同年、「普通のおばさんになりたい」との理由からこの年の紅白出場を最後に、引退を表明していた都はるみ。大トリを務めた都は「夫婦坂」を熱唱した。会場からは割れんばかりの拍手とともに「アンコール」の大合唱となった。
この状況に白組司会者だった同局の鈴木健二アナは「1分間時間をください。私が説得してみます」とアナウンスし、紅白史上初のアンコールが披露された。曲は都にとって代名詞のような大ヒット曲「好きになった人」。会場は大きな感動に包まれた。
その直後だった。総合司会の生方恵一アナが「もっともっとたくさんの拍手を“ミソ‥‥”」と発言。「美空ひばり」と言い間違えてしまったのだ。
この失態を生方アナは年明けに謝罪したが、その後、大阪支局に異動となったという。
局アナによる言い間違いは18年にもあった。この年、2年連続38度目の優勝をした白組へ優勝旗授与の瞬間だった。野村萬斎が登壇すると、総合司会の桑子真帆アナは「ゲスト審査員を代表して、野村萬斎さんから紅組に優勝旗が渡されます」とアナウンス。最後の最後で、コントのようにズッコケそうな間違いだった。
いずれも、よかれあしかれ、記憶に残る紅白となったことは間違いないだろう。