草なぎ剛の主演ドラマ「罠の戦争」(フジテレビ系)が好評だ。15年の「銭の戦争」、17年の「嘘の戦争」に続く戦争シリーズ第3弾は、政界を舞台にした権力者への復讐劇。愛する家族を傷つけられた草なぎ演じる議員秘書の鷲津亨が、罠を仕掛けて悪しき政治家を失脚させていく痛快エンターテインメント作だ。
カンテレ制作の連ドラで草なぎが主演を務めるのは8作目。同局最多記録をさらに伸ばした。97年の「いいひと。」は初の主演作で、平均視聴率20.4%(関東地区、ビデオリサーチ社調べ)と、初陣にして及第点を突破。SMAPのメンバーでもっとも遅い連ドラ主演だったが、以降は木村拓哉と肩を並べる視聴率王となった。
草なぎは、30年以上に及ぶキャリアで多くの映画監督や演出家をうならせてきた。10年に死去した劇作家で直木賞受賞作家でもあったつかこうへい氏もそんな1人。つか氏は、草なぎ主演の舞台「蒲田行進曲」(99年・2000年)を演出。「大天才」と賛辞を送っている。芸能関係者が振り返る。
「草なぎがつかさんの作品に出たのはこの時が初めてでした。初演の時は23歳。相手役を務め、同じく舞台経験が浅かった小西真奈美とは連日にわたって口立てで練習。1日に10時間もの猛稽古に励んでいたといいます。毎日汗だく。役に入り込むあまり、稽古で涙を流すことが当たり前だったそうです」
劇中で2人は、中村あゆみの大ヒットナンバー「翼の折れたエンジェル」を合唱した。現在、「罠の戦争」の撮影真っ最中の草なぎは、つか氏に言われたことを思い出し、初心に戻っているという。
「つかさんは、『何十年か経った時におまえらの頭に残ってるのは、この歌だけかもな』と言っていたそう。草なぎは早朝撮影、タイトなスケジュールのたびにつか氏の言葉と『翼の折れたエンジェル』が頭の中で流れるようです」(前出・芸能関係者)
日本アカデミー賞を受賞するまでになった天才役者を、つか氏は天国から観て喜んでいるに違いない。
(北村ともこ)