第5回ワールド・ベースボール・クラシック（WBC）のテレビ中継放送が冬ドラマの視聴率低下に拍車をかける結果となったようだ。
1次リーグ初戦となる3月9日の対中国戦（TBS系）の平均世帯視聴率は、41.9％（ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同じ）を記録。10日の韓国戦（TBS系）は44.4％、11日のチェコ戦（テレビ朝日系）は43.1％、12日のオーストラリア戦（テレ朝系）は43.2％と、いずれも40％超えの高視聴率となった。
ちなみに44.4％は、WBCの平均世帯視聴率トップだった2006年の決勝（キューバ戦）の43.4％を上回る数字。昨年放送の全番組トップだったサッカーW杯「日本対コスタリカ」戦の42.9％をも上回る快挙となった。
となると、割を食ったのが裏番組。今クール終盤で数字の爆上げを狙っていたドラマ群だ。全試合で試合終了まできっちり放送された結果、裏番組のドラマはいずれも爆死状態となった。
緊急事態に真っ青となったのは、12日に最終回を迎えた妻夫木聡主演の日曜劇場「Get Ready！」（TBS系）。世帯平均視聴率は6.4％にダウン。初回、10.2％の2ケタ視聴率でスタートし、第2話で10.9％と微増。日曜劇場の固定ファンをガッチリキープするかと思いきや、第3話の10.3％から第4話9.6％と1ケタに転落。第5話以降、 9.6％、9.9％、9.4％、9.1％、8.3％と右肩下がりが続いたあげく、6.4％で幕引きとなった。
「『Get Ready！』は超人的オペ技術と法外な治療費でどんな手術も請け負う闇医者チームによる医療エンタテインメントでした。ところが、あまりにお粗末な内容から“まるで手塚治虫氏の漫画『ブラックジャック』の劣化版”などと散々な叩かれようでした。高視聴率が鉄板の医療ドラマで、まさかの1ケタオンパレードですから、視聴者の共感を得るにはほど遠かったということでしょう。裏のオーストラリア戦では、大谷翔平の今大会初アーチとなる3ランあり、先発・山本投手の4回1安打無失点8奪三振の好投ありでしたからね。15分拡大枠に延長した甲斐もなく、数字には結びつかなかった」（ドラマウォッチャー）
11日放送の櫻井翔主演の「大病院占拠」（日本テレビ系）第9話の世帯平均視聴率も4.2％の低空飛行。もちろん、こちらも野球中継の“被害者”だ。裏の「サタデーステーション」（テレ朝系）では、試合終了後もハイライトを紹介・解説して、視聴者を釘付けにしていた。
「『大病院占拠』は初回から7％台をキープ。鬼の面をかぶった謎のテロリスト集団によって占拠された大病院で櫻井演じる休職中の捜査官が孤軍奮闘する人質救出ドラマでした。ツッコミどころ満載で謎解き大好きな考察ファンにバズっていたはずでしたが、日本人選手の大活躍に目を奪われたのでは」（芸能ライター）
逆にラッキーだったのは、10日放送の井上真央主演の連続ドラマ「100万回 言えばよかった」（TBS系）だ。初回7.4％でスタートし、以後7％台で推移。第8話で6.2％にダウン。盛り上がらないまま終了かと思われたが、第9話の世帯平均視聴率は12.4％と倍増した。番組編成に助けられた格好だ。前番組がWBCを生中継しており、後番組の「100よか」が夜11時20分からの放送となった。興奮冷めやらない視聴者がそのままドラマを見続けたことや、金曜深夜帯の放送となったことで普段と違う新たな視聴者を獲得したのだろう。
「この回は、成仏できずに幽霊になってしまった佐藤健を殺した真犯人が解明され、成仏していくシーンが描かれるなど見逃せない回でした。もっともラストはなぜか佐藤が生き返っている謎の場面で終了。思わせぶりな最終回予告もあって、視聴者にとってはモヤモヤしたまま終わったのではないでしょうか」（ネットライター）
はたして「100よか」は、連続2ケタ視聴率獲得で有終の美を飾れるか。
（塩勢知央）
