音楽家であり俳優としても活躍した坂本龍一氏が3月28日、都内の病院で死去した。71歳だった。
坂本さんは、1978年に細野晴臣と、今年1月に死去した高橋幸宏さん(享年70)で「イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)」を結成。翌79年には全米デビューが決定し「テクノポリス」や「ライディーン」が喝采を浴びた。その人気が日本に逆輸入という形で、80年3月から初の国内ツアーを開催。
坂本さん個人としては、1987年公開の映画「ラストエンペラー」で、日本人初のアカデミー作曲賞を受賞。「世界のサカモト」と称された。
83年公開の映画「戦場のメリークリスマス」では、英ロック歌手のデビッド・ボウイ氏(16年死去、享年69)と共演。男性同士のキスシーンを熱演し、話題となった。元妻はシンガーソングライターの矢野顕子で、歌手の坂本美雨は娘。6月公開予定、是枝裕和監督の最新作「怪物」では、音楽を担当した。
「坂本さんは、有名人でありながら、政治思想に関しての発言や、社会運動家としての活動も少なくありませんでした。特に晩年は、沖縄の米軍問題や反原発に対する厳しい意見を発信。亡くなる直前の3月初旬には小池百合子都知事、永岡桂子文科相らに神宮外苑再開発計画に見直しを求める手紙を送ってもいました。時にはそうした行動に対し『音楽家は音楽だけやっていろ』といった批判があることも承知の上で『職業に関係なく誰もが声を出せる社会じゃないとダメだと思う』という考えを述べるなど“モノ言う芸術家”でした」(芸能記者)
「芸術は長く、人生は短し」との文言を好んだという坂本さん。まだまだ、やりたいことの多かった人生だったに違いない。