この組み合わせ、よくぞ思いついてくれたものだと感心する視聴者も少なくないようだ。
放送中のNHK連続テレビ小説「らんまん」は4月14日放送の第10回にて、主人公・槙野万太郎の青年期を演じる神木隆之介が初登場。ファンの喝さいを浴びている。
まずはヒロインの幼少期を描くのが朝ドラの定番とはいえ、「らんまん」の第1~2週では幼き万太郎の身勝手さばかりが目立つことに。万太郎に感情移入ができず、「面白くない」といって離脱を宣言する視聴者が後を絶たない状況だ。
その一方で、同じタイミングで再放送がスタートした2013年上期の連続テレビ小説「あまちゃん」は大好評。4月14日放送の第11回ではヒロインの天野アキ(能年玲奈)と同い年の足立ユイ(橋本愛)が親しくなっていく様子が描かれ、若き美人女優の共演は「観ているだけで幸せになる」と令和の視聴者も大興奮だ。
「放送当時は社会的現象と言われるほどの人気を呼んだ『あまちゃん』ですが、さすがに10年前の作品とあって、リアルタイムで観ていなかった人も少なくありません。そのため今回が初見となる視聴者も多く、評判通りの良作ぶりに感心する声が続出。今期の『らんまん』が男性を主人公に据えた変化球的な作品とあって、むしろ『あまちゃん』のほうを朝ドラとして純粋に楽しむ層も少なくないようです」(テレビ誌ライター)
その「あまちゃん」は、ヒロインが登場時点からすでにある程度成長しており、子役時代がない作品だ。それ自体は決して珍しいことではなく、4作品前の「おかえりモネ」でも初期からヒロインの清原果耶が登場していた。
ただ視聴者としてはどうしても、同じタイミングで放送されている「らんまん」と「あまちゃん」を見比べてしまうもの。「らんまん」は幼少期の主人公・万太郎が第1~2週に渡って登場するオーソドックスな作風でもある。その違いこそが、令和5年のタイミングで「あまちゃん」が再放送される理由だというのである。
「『あまちゃん』のヒロインを務める能年玲奈(現・のん)は、良くも悪くも注目を集める人物。若い視聴者のなかには、のん以前の能年を初めて観るという人も多く、その物珍しさも『あまちゃん』が視聴者を集める理由となっています。この時期に、現行版の朝ドラが同じようにヒロインが活躍する作品だったら、間違いなくそのヒロインと能年が比較されていたはず。それは女優としても事務所としても、そしてNHK側としても避けたい事態でしょう。それゆえ神木隆之介が主人公を務める『らんまん』が、『あまちゃん』のカップリング作品としては最適だったに違いありません」(前出・テレビ誌ライター)
NHKとしては視聴率が確実に見込める「あまちゃん」はぜひ再放送したいところ。ただでさえ最近は朝ドラの再放送が続いており、いずれかのタイミングで「あまちゃん」の順番も回ってきたはずだ。
そこで男性が主人公の朝ドラが制作されるとなったら、「いまこそ『あまちゃん』のタイミング!」と制作側が考えるのも当然のことだろう。その意味で能年や「あまちゃん」のファンは、神木隆之介に感謝すべきなのかもしれない。